デリック

デリックとは

デリック（英: derrick）は、貨物を吊り上げて移動させるためのクレーンの一種です。この機械装置は、原動機付のウインチを用いてワイヤーロープを介し、本体ブームの昇降や旋回を実現します。デリックは主に建設工事や港湾荷役での作業に使用され、特に船上に設置されたデリックは、法的には揚貨装置として分類され、特別な免許が必要となります。

歴史と由来

デリックは17世紀にイギリスで発明されたとされ、当初は人力によってウインチを操作する形態でした。この名称は、当時の死刑執行人デリック氏に由来しています。彼は吊るすのではなく引き上げる方法を考案したことで知られています。これにより、デリックという名称が普及しました。

デリックの分類

デリックには、いくつかのタイプがあります。最も一般的なものには以下のようなものがあります。

• - ガイデリック: 支えとなるワイヤーがあるタイプのデリック。安定性が高い。
• - スチフレッグデリック: スチフレッグを使用したデリックで、より高い荷重に耐えられます。
• - ジンポール: 構造が簡易で可搬性に優れたデリック。

法的規制

デリックの運転には多くの法的規制があります。日本においては、労働基準法によって、18歳未満の者はデリックの運転に従事できません。さらに、つり上げ荷重が5トン以上のデリックについては、妊娠中の女性や出産後1年が経過していない女性も従事できないと定められています。

運転資格

吊り上げ荷重が5トン以上のデリックを運転するには、以下のいずれかの国家資格が必要です。

• - クレーン・デリック運転士免許
• - 旧・デリック運転士免許

一方、5トン未満のデリックには特別教育が求められます。なお、船上に設置されたデリックについては、これらの資格だけでは法的に運転することができません。

製造・設置について

吊り上げ荷重が2トン以上のデリックを製造する場合、都道府県労働局長の許可が必要です。また、設置や主要構造部分の変更、使用休止後の再使用時には労働基準監督署長の検査が必要です。これに合格すると、検査証が交付されます。

まとめ

デリックは、建設現場や港で幅広く利用される必要不可欠な機械装置です。その運用には多くの規制や資格が絡んでおり、安全な作業を確保するための基盤となっています。新たな技術が進展し続ける中、デリックの設計や規制も時折見直されており、今後もその進化が期待されます。

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