デルタコ

デルタコ：メキシコとアメリカの味が融合するファストフードチェーン

デルタコは、アメリカ合衆国に拠点を置くファストフードチェーンで、メキシコ料理とアメリカ料理の両方を幅広く提供していることで知られています。タコス、ブリトー、ケサディーヤ、ナチョスといったメキシコ料理に加え、チーズバーガー、フライドポテト、シェイクといったアメリカの定番ファストフードもメニューに並び、顧客はこれらの組み合わせを自由に楽しむことができます。2019年1月時点で、カリフォルニア州、ネバダ州、アリゾナ州、ユタ州、コロラド州など、アメリカ西部の14州で580店舗を展開しています。

店舗展開

デルタコは、多様なメニュー構成が特徴で、メキシコ料理とアメリカ料理を同時に楽しめる点が強みです。特にカリフォルニア州が主要な出店先ですが、ネバダ州ラスベガスにも多くの店舗を構え、2018年1月には38店舗目をオープンしました。西部の州を中心に店舗を増やし、地域住民に愛されています。

歴史

創業期

デルタコの創業者であるエド・ハックバースは、ウィスコンシン州出身で、幼い頃からカスタード売りで生計を立てていました。この経験が、後にファストフード業界に進むきっかけとなりました。17歳でアメリカ空軍に入隊し、1953年にはカリフォルニア州のジョージ空軍基地に勤務。当時、サンバーナーディーノ地域はファストフード店が勃興しており、ハックバースはニール・ベイカーやグレン・ベルといった、後の大手ファストフードチェーンの創業者たちとともに、その黎明期を経験しました。彼は、ベイカーのハンバーガー店や、ベルが運営するタコスとハンバーガーを併売する店で働きました。

1961年、ハックバースは独立し、ヤーモに「カーサ・デル・タコ」という名の店をオープン。タコスとハンバーガーを両方提供するスタイルで、初日に169ドルの売り上げを記録しました。その後、バーストーやニードルズにも店舗を拡大。コロナに開店した店舗は初のドライブスルー対応となりました。この店で調理機器の設置を担当したディック・ノーグルも事業に参画します。

1966年、ハックバースはフランチャイズ展開のためRed-E-Food Systems, Inc.を設立し、最初のフランチャイズ店をヴィクタービルに開店しました。同年には太陽をモチーフにしたロゴを導入し、南カリフォルニア全域に店舗網を拡大しました。1970年にはノーグルが独立し、メキシコ料理を扱う「ノーグルズ」を創業。1973年、ハックバースは店名を「デルタコ」に改名し、社名もDel Taco, Inc.に変更しました。事業は急速に成長し、一時は毎月のように新店舗をオープンするほどの勢いでした。しかし1976年、ハックバースは創業地数店舗の運営権を残し、デルタコを投資家グループに売却しました。

分裂と再統合

1978年、デルタコはカリフォルニア州と一部地域を除くアメリカ全土での名称使用権をW・R・グレースに売却しました。グレースは本業が化学工業でしたが、ファストフード事業にも参入し、テキサス州に新会社Del Taco Restaurants Inc.を設立。これにより、メニューやロゴが異なる2つの「デルタコ」が並立することになりました。その後、グレースがレストラン部門を売却することになり、1986年にはカリフォルニアのデルタコがテキサスのデルタコの買収を試みましたが、資金不足で実現しませんでした。

ノーグルズとの合併

1988年、アメリカン・レストラン・グループを経営するアンワル・ソリマンが、デルタコとノーグルズを買収し、合併させる計画を発表しました。ソリマンは過去にW・R・グレースのレストラン部門の幹部を務めており、デルタコとの因縁がありました。この合併により、デルタコの店舗網は東にまで拡大し、タコベルに次ぐアメリカ第2位のメキシコ料理チェーンとなりました。しかし、合併を強調したCMは混乱を招き、早期に中止されました。また、メニューの価格設定が高く、業績は下降線をたどりました。運営面では終夜営業が開始されました。

1990年、CEOのウェイン・W・アームストロングを中心とする経営陣が、MBOによりデルタコを買収し、経営を立て直しました。メニューの復元や値下げなどの施策が効果を上げましたが、アームストロングは辞任し、バーガーキングでの実績があるケビン・K・モリアーティが新CEOに就任しました。1992年、グレースは管轄下のデルタコの店舗をタコベルに売却する意向を示しましたが、名称使用権はカリフォルニアのデルタコが買い戻しました。これにより、州外への店舗展開が可能となり、内外装やロゴの刷新計画が始まりました。新しいロゴは、チーズ、レタス、トマトをイメージした配色で、黄色い太陽が緑の山から昇り、赤い大地を照らすデザインとなりました。

1993年、デルタコはLBOが原因で倒産裁判所に連邦倒産法第11章に基づく手続きを申請しましたが、1994年には再生を宣言しました。不採算店舗の閉鎖により、1995年には目標としていた500店舗には届きませんでしたが、1997年には総売上高が2億5000万ドルに達し、店舗数も増加しました。また、米軍基地内での営業も開始しました。

500店舗達成と公開会社化

2006年、ベンチャーキャピタルのGrotech Capital Group Inc.がデルタコを買収。2008年には500店舗目をオープンしました。2010年にはキャプテンDを売却し、社名をデルタコ・ホールディングスに変更しました。また、テキサス州への再出店も果たしました。2013年にはオクラホマ州にも進出しました。

2015年、デルタコはラリー・リーヴィによる買収を経て、Del Taco Restaurants, Inc.として公開会社となりました。

宣伝活動

デルタコは、様々な宣伝活動を行ってきました。1999年から2000年には、店名と同じ「デルタコ」というマスコットキャラクターを導入しましたが、ゾロの商標権を侵害しているとして訴訟を起こされ、和解しました。2000年からは、広報担当者のダンが登場するCMを制作し、人気を博しましたが、後に「食べ物に注目させる」という方針に転換しました。2007年には「Feed the Beast」というスローガンを掲げ、「ザ・ビースト」というキャラクターが登場するCMを放送しましたが、これも短期間で終了しました。その後、「Go Bold or Go Home」をスローガンに掲げ、新たな展開を図っています。

デルタコは、数々の困難を乗り越え、成長を続けているアメリカを代表するファストフードチェーンの一つです。今後も、メキシコ料理とアメリカ料理の融合という独自の強みを活かし、さらなる発展が期待されます。

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