デルベント

デルベント (Derbent)

デルベントは、ロシアのダゲスタン共和国に位置する都市で、ロシア最南端の都市としても知られています。人口は約101,000人（2002年国勢調査）で、主にアゼルバイジャン人が住んでいます。歴史的にはアレクサンドロスの門にまつわる伝説が残り、ロシア最古の都市の一つとして、2003年に「デルベントのシタデル、古代都市及び要塞建築物群」がユネスコの世界遺産に登録されました。

地理

現在のデルベントは、カスピ海の西岸に位置し、タバサラン山の傾斜面に広がっています。この地は交通の便が良く、港もあり、アゼルバイジャンの首都バクーへは鉄道やロストフ・ナ・ドヌ道路でアクセスできます。デルベントの経済は、食品、織物、漁業、木工製品などが中心で、ロシアにおけるブランデーの生産地としても有名です。気候は典型的なカスピ海性で、温暖な夏と冬を特徴としています。

歴史

デルベントはコーカサス地方の戦略的な要所として位置しており、かつてはユーラシア草原と中東を結ぶ重要な交通路でした。最初の住居は紀元前8世紀に遡り、紀元前6世紀にはペルシャによる支配が始まります。おそらくその名前の由来もペルシャ語の「閉じられた門」から来ています。デルベントの城壁は5世紀末から6世紀初頭にかけて建設され、強固な要塞として機能しました。

ホスロー1世の統治下では、20メートルの高さをもつ城壁の一部が建設され、デルベントはサーサーン朝のもとで重要な港湾都市となります。デルベントはキリスト教の布教地にもなりながら、627年には西突厥の支配を受けるも、その後はペルシャに再征服されました。

654年にはアラブ勢力の手に渡り、イスラームが広がります。デルベントはシルク・ロードの北への起点ともなり、アラブとハザールとの間で戦いが繰り広げられました。アッバース朝の時代には、デルベントは商業と文化の中心として栄え、9世紀には最大人口を誇る都市として記録されています。

この街はその後も多くの勢力に支配され、モンゴルの侵攻やティムールによる征服を経て、ペルシャの支配下に置かれました。1722年の初代ロシア・ペルシャ戦争によってロシア帝国の支配を受け、19世紀初頭には正式にロシア帝国に属することになります。

世界遺産

デルベントの重要性が認識され、世界遺産に登録された要素には、多様な文化的伝統や歴史を物語る建築様式があります。世界遺産として登録された区域には、6世紀に建設されたバシリカや8世紀のモスク、15世紀のマドラサ、さらには19世紀のアルメニア正教の教会などが含まれています。これらの遺跡は、当時の姿を保ちながら、デルベントの歴史を物語っています。

デルベントはアゼルバイジャンのギャンジャ、アメリカのヤキマなどと姉妹都市の関係を築いており、今なお歴史的な価値を保持し続けています。

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