デヴィッド・オリスト

デヴィッド・オリスト：変幻自在のギタリストの軌跡

デヴィッド・オリスト（David "Davy" O'List、1948年12月13日 - ）は、イングランド出身の多才な音楽家です。ギタリストとしてだけでなく、ボーカリスト、トランペッターとしてもその才能を発揮し、数々の著名なバンドを渡り歩きました。

若き日の音楽的才能の開花

ロンドン西部のチジックで、俳優の両親のもとに生まれたオリストは、幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ちました。12歳で王立音楽大学の奨学金を得て、4年間トランペットとピアノを学び、音楽の基礎を築きました。1964年にローリング・ストーンズのデビュー・アルバムを聴いたことがきっかけでR&Bに魅せられ、ギターを手にするようになります。王立音楽大学で最終試験を受けた後、ソウルシンガー、リチャード・ヘンリーのバックバンドに参加し、プロのミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせました。

ジ・アタックでの挑戦

スーパーマーケットでのアルバイト中に出会ったリチャード・シャーマンに誘われ、彼のバンド、ソウル・システム（後にジ・アタックと改名）にギタリストとして加入。1967年にデビュー・シングル「Try It」を発表しますが、アメリカのバンド、ザ・スタンデルズによって既に録音されていた曲でした。同年2月に録音した「Hi Ho Silver Lining」も、ジェフ・ベックが先に発表し大ヒットしたため、注目を浴びることはありませんでした。しかし、B面に収録されたオリジナル曲「Any More Than I Do」が、海賊放送局のジョン・ピールの番組で頻繁に流され、オリストのギターソロは音楽誌『メロディ・メイカー』で高く評価されました。ジョン・メイオールからジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズへの誘いを受けますが、キース・エマーソンに誘われ、P.P.アーノルドのバックバンドに参加。

ザ・ナイスでの成功と挫折

1967年5月、「パット・アーノルド・アンド・ザ・ナイス」のメンバーとして活動を開始。その後、アーノルドから独立し、ザ・ナイスとして活動を続けました。1968年3月、デビュー・アルバム『ナイスの思想』を発表。同年7月には、レナード・バーンスタインの「アメリカ」の改作がイギリスのシングルチャートで21位を記録し、唯一のヒット曲となりました。ザ・ナイスでのオリストの演奏スタイルは、「ヘンドリックス風のギター」と評されましたが、キース・エマーソンとの音楽性の違いから、セカンド・アルバムのレコーディング中に脱退。

ピンク・フロイド、ジェスロ・タルへの参加

ザ・ナイス在籍中の1967年、シド・バレット脱退後のピンク・フロイドの代役として短期間参加。「ジミ・ヘンドリックスとフロイドのパッケージツアーだったので、夢のようだった」と当時を振り返っています。その後、ミック・エイブラハムズ脱退後のジェスロ・タルにも短期間在籍しました。

ロキシー・ミュージック、ジェットでの活動

1971年10月、デビュー前のロキシー・ミュージックに加入しますが、数か月で脱退。1974年には、ブライアン・フェリーのソロ・アルバム『アナザー・タイム、アナザー・プレイス』の制作に参加し、ドビー・グレイのカバー「ジ・イン・クラウド」でギターソロを披露しました。同年、ジェットに加入し、1975年にアルバムをリリース。イアン・ハンター&ミック・ロンソンのサポートとしてツアーに参加しました。

ソロ活動と私生活

1997年に初のソロ・アルバム『Flight of the Eagle』を発表。2015年には2作目『Second Thoughts』をリリースしました。私生活では、サトゥ・レドモンドと結婚し、息子ジェームス・レドモンドをもうけています。

デヴィッド・オリストは、その多才な音楽性と、常に新しい音楽性を追求する姿勢で、ロック史に名を刻んだギタリストと言えるでしょう。

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