デ・ハビランド DH.104 ダブ

デ・ハビランド DH.104 ダヴ

デ・ハビランド DH.104 ダヴは、イギリスのデ・ハビランド社が開発したレシプロ双発の小型旅客機です。この機体は、民間航空だけでなく、軍用輸送機としても活躍しました。軍用機型はDH.104 デヴォンと呼ばれています。ダヴ（Dove）とは英語で「鳩」を意味します。

概要

ダヴは、その信頼性と経済性から世界各国で広く運用されました。日本では、初期には国内ローカル線の主力機として、その後は遊覧飛行などにも使用されました。また、ダヴを大型化し、4発にした姉妹機としてDH.114 ヘロンが存在します。

日本におけるダヴ

日本では、日本遊覧航空（後の藤田航空）、日本ヘリコプター輸送（日ペリ航空、現在の全日本空輸と同一法人）、そして極東航空（後に日ペリ航空に吸収合併され全日本空輸となる）がダヴを運用しました。

1953年12月15日、日ペリ航空が羽田～伊丹路線に貨物便としてダヴを就航させたのが日本における最初の運用でした。翌年の2月1日からは旅客輸送にも利用されましたが、乗客数が多くなかったため、訓練や航空測量にも活用されるようになりました。

1955年2月には、天候不良で孤立した青ヶ島へ、東京都がチャーターした東洋航空のダヴが救援物資を投下するという活躍もありました。

また、日本エアシステムの前身である東亜国内航空と、その前身である東亜航空もダヴをコンベア240やデ・ハビランド DH.114 ヘロンなどと共に使用しました。

日本国内では合計7機のダヴが運用されましたが、そのうち2機（JA5003とJA5008）が事故により失われました。長崎航空（現在のオリエンタルエアブリッジ）で1967年まで運航されていたJA5006は、旧大村空港で屋外展示されていましたが、現在は現存していません。

現在、日本国内に現存するダヴとしては、東亜航空で使用されていたDH-104-1B（JA5007）が、塩原ファミリー牧場に屋外展示されています。この機体は、極東航空、全日空、東亜航空で使用された後、沖縄航空への移譲が中止となり、最終的に日本航空学園で使用されました。機体側面には「東亜航空」と記載されていますが、尾翼のマークは極東航空のものを踏襲しています。屋外展示のため機体の状態は良好とは言えませんが、修繕の跡も見られます。

さらに、かつて日本遊覧航空や長崎航空で使用されていたJA5038も現存しており、長崎県長崎市のこども園で展示されています。この機体は1968年まで運行され、その後長崎水族館で展示された後、個人を経て現在の場所に移設されました。

機体性能

運航乗員: 2名
乗客: 8～11名
全長: 12.07m
全幅: 17.37m
全高: 4.08m
翼面積: 31.12m²
空虚重量: 2,170kg
全備重量: 3,992kg
エンジン: デ・ハビランド ジプシー・クイーン70-4 空冷6気筒 × 2
出力: 340 hp
巡航速度: 240km/h
航続距離: 1,545km
最高到達高度: 6,100m

脚注

関連項目
全日本空輸
紅の翼

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