デ・ハビランド・カナダ DHC-1

デ・ハビランド・カナダ DHC-1 チップマンクの概要

デ・ハビランド・カナダ DHC-1 チップマンク（通称：チッピー）は、1946年に飛行試験を開始したカナダ製のレシプロ練習機です。この機体は、カナダの・ハビランド社が自社初の設計となり、デ・ハビランド タイガー・モスの後継機として進化を遂げました。チップマンクは、その名の通り、「シマリス」を意味し、可愛らしい愛称で親しまれています。

カナダでは218機が製造されたものの、イギリス空軍が初等練習機として採用したことで、イギリスでものべ1,014機が生産されました。イギリス向けには735機が納入され、残りは海外に輸出されました。また、ポルトガルでも60機がライセンス生産されたことが特徴的です。

設計と性能

チップマンクは、タンデム（縦列）複座の単葉機で、固定式の降着装置を持っています。また、デ・ハビランド ジプシー・メジャーエンジンを搭載し、その基本構造は全金属製ですが、主翼の後半部は羽布張りになっています。特にカナダ製機体の多くは、バブルキャノピーを装備しており、見た目の特徴があります。

この機体は非常に頑丈に設計されており、1990年代まで使用され続けた国も存在します。2023年現在でも、民間に払い下げられた機体が500以上の現役機として飛行しています。

派生型

チップマンクは、カナダ製とイギリス製の両方で多くの派生型が存在し、それぞれ異なるエンジンや仕様が用意されています。たとえば、カナダ製のDHC-1A-1は、ジプシー・メジャー1Cエンジンを搭載し、一部の曲技飛行が可能です。一方で、DHC-1B-1は完全な曲技飛行が可能なバージョンとなります。

イギリス製においても、チップマンク T.10やMk.20などさまざまなバージョンが存在し、各国の軍に適応した設計がなされています。これにより、各機体がその地域における特定の訓練や任務に対応できるようになっています。

改造とカスタマイズ

民間機として払い下げられたチップマンクの中には、独自の改装が施されているものがあります。オーストラリアで改装された「エアロストラクチャーズ サンダウナー」は、ライカミング製O-360エンジンに換装し、視界を改善するキャノピーを装着した事例です。また、農業用として改修された「サシン SA-29 スプレーマスター」なども存在します。

さらに、「スーパー・チップマンク」という特別改造機もあり、曲技飛行専用にカスタマイズされています。これらのバリエーションは、飛行機の多様性を示しており、それぞれに特徴ある性能や用途が求められています。

採用国

DHC-1 チップマンクは、カナダをはじめとする多くの国で採用され、訓練機、航行機として多様な任務を果たしてきました。　

諸元（チップマンク T.10）

• - 全長: 7.75 m
• - 全幅: 10.46 m
• - 全高: 2.13 m
• - 自重: 646 kg
• - 最大離陸重量: 914 kg
• - エンジン: デ・ハビランド ジプシー・メジャー8（145馬力）
• - 最高速度: 222 km/h
• - 航続距離: 451 km
• - 実用上昇限界高度: 4,815 m

デ・ハビランド・カナダ DHC-1 チップマンクの歴史は、航空機の訓練の重要性や技術の進化を示す一例であり、多くのパイロットに経験をもたらす役割を果たしてきたことがうかがえます。

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