トゥイシ

沖縄県与那国島西端の岩礁「トゥイシ」

トゥイシは、沖縄県八重山郡与那国町、与那国島の西端である西崎の北北西に位置する岩礁です。北緯24度27分05秒、東経122度55分57秒に位置し、日本最西端の地として知られています。地元では古くからその存在が知られており、漁船の目印としても利用されてきました。

歴史と名称

1702年の『元禄国絵図』にも、トゥイシの位置に岩のようなものが描かれています。この岩礁は、地元では「トゥイシ」と呼ばれてきましたが、その由来には「とがった石」や、刃物を研ぐ「砥石」など、諸説があります。また、磯釣りの好スポットとして「西崎ハナレ」という名でも親しまれています。

地理的特徴

トゥイシは、低潮線が与那国島と分離しているため、国際法上は厳密には与那国島とは別の島（岩）とみなされます。しかし、地形的には与那国島と陸続きの小島・岩礁であり、干潮時には与那国島と繋がる低潮高地が現れます。この際、離岸している部分は幅70m程度しかありません。報道では与那国島または西崎にある岩と表現されることが一般的です。

日本最西端の地へ

トゥイシの存在は以前から知られていましたが、国土地理院の2万5千分の1地形図に初めて記載されたのは2019年6月です。与那国島の地形図は1981年に初めて作成されましたが、満潮時の面積が7.5m2以上であることが掲載基準でした。そのため、2019年以前は西崎沖の隠顕岩の範囲が記載されるのみで、トゥイシの名称は示されていませんでした。1987年には、満潮時も水面上にある部分の測量が行われましたが、5千分の1地形図には記載されたものの、2万5千分の1地形図には記載されませんでした。

2016年に与那国島に陸上自衛隊与那国駐屯地が設置されたことをきっかけに、地形図の更新が必要となりました。2017年7月に国土地理院がドローンなどで調査した結果、この岩礁が大潮の満潮時にも水面上にある水上岩であることが確認されました。そして2019年3月、与那国町が地形図への追加を申請し、遂に記載されることになったのです。

国土地理院は、日本の東西南北端を2万5千分の1地形図に基づいて決定しているため、この記載によって西崎（北緯24度26分58秒、東経122度56分01秒）に代わってトゥイシが日本最西端の地点となり、日本の最西端は約110m西に移動しました。これは、与那国島の2万5千分の1地形図が作成されて以来、初の最西端地点の変更となりました。

領海・排他的経済水域との関係

領海や排他的経済水域（EEZ）は低潮線に基づいて定められます。海上保安庁は2016年6月24日に、航空レーザー測量に基づき与那国島の海図をより詳細なものに改版しており、この際にトゥイシも海図に記載されていました。そのため、国土地理院による最西端地点の変更は、日本の領海やEEZには影響しません。

2011年には、排他的経済水域等の基礎となる低潮線を有する離島に関する調査が行われ、与那国島は「基点を有する離島・小島・低潮高地」として位置づけられました。トゥイシや西崎などは、排他的経済水域などの起点となる低潮線保全区域に該当するため、西崎には啓発の看板が設置され、2012年には沖縄総合事務局による低潮線の巡視が行われました。

西埼灯台と照射灯

西崎には西埼灯台が立っており、この灯台にはトゥイシを照射する西埼北西方照射灯が併設されています。

まとめ

トゥイシは、その小さな見た目とは裏腹に、日本の最西端という重要な役割を担う岩礁です。その歴史や地理的特徴、そして最西端の地となるまでの経緯は、この岩礁がいかに特別な存在であるかを物語っています。

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