トゥイッケナム・スタジアム

トゥイッケナム・スタジアム：ラグビーの聖地

ロンドン郊外トゥイッケナムにあるトゥイッケナム・スタジアムは、ラグビーユニオン専用の競技場として世界的に知られています。2024年9月からは、ドイツの保険会社アリアンツとのネーミングライツ契約により、「アリアンツ・スタジアム」という名称も用いられるようになります。

イングランドラグビー協会が所有するこのスタジアムは、単なる競技場にとどまりません。博物館、ホテル、会議場、宴会場、フィットネスジム、そしてプレミア会員向けの特別な施設など、多様な設備を備えています。イングランドを起源とするスポーツであるラグビーとサッカーですが、サッカーの聖地としてウェンブリー・スタジアムが有名である一方、トゥイッケナム・スタジアムは「ラグビーの聖地」と称され、ラグビー界における特別な地位を確立しています。

歴史と変遷

1907年、イングランドラグビー協会は、トゥイッケナムの10¼エーカーの土地を購入し、スタジアム建設が始まりました。この土地は当初、市場菜園で、「ビリー・ウィリアムズのキャベツ畑」という愛称で親しまれていました。これは、土地取得に尽力した委員会メンバー、ウィリアム・ウィリアムズ氏に由来するものです。

1909年10月2日、最初の試合が開催され、その後、第一次世界大戦と第二次世界大戦による中断期間もありました。戦時中は、スタジアムの敷地の一部が農園や牧場として利用されたという興味深い歴史も持ち合わせています。

その後、段階的な拡張工事が行われ、スタンドの増築や改修によって収容人数は増加していきました。1925年の北側スタンド完成により、グラウンド全体をスタンドが囲む構造となり、1995年には改修を経て、75,000人の観客を収容できる規模となりました。更衣室、医療設備、フィットネスセンターなども併設され、より充実した施設へと進化しました。

2006年には南スタンドの大規模改修が完了し、座席数は過去最高の82,000席となりました。また、ホテルやジムの建設など、スタジアム周辺の施設整備も進められています。近年では、LED照明や大型スクリーンの導入など、最新の設備も導入されています。

施設とイベント

トゥイッケナム・スタジアムは、ラグビーユニオンの国際試合であるテストマッチの開催地として有名です。1991年と2015年のラグビーワールドカップでは、いずれも開幕戦と決勝戦がここで行われました。さらに、ラグビーリーグの試合や、アメリカンフットボールのNFL International Seriesなども開催されています。

音楽イベントにも利用され、2003年にはローリング・ストーンズ、その後もジェネシス、ポリス、ボン・ジョヴィ、U2など、多くの世界的アーティストがコンサートを開催しています。

スタジアム内には、「ワールドラグビーミュージアム」も併設されており、ラグビーユニオンの歴史や文化に関する貴重な資料を展示しています。

愛称と象徴

トゥイッケナム・スタジアムには、数々の愛称があります。「ビリー・ウィリアムズのキャベツ畑」は、その歴史を物語る愛称であり、「The Cabbage Patch」、「Twickers」、「Headquarters」、「HQ」なども広く使われています。

スタジアムには、ラグビーの歴史を象徴する数々のモニュメントもあります。ローランド・ヒル記念門は、ラグビー・フットボール・ユニオンの発展に貢献した人物への追悼として建てられ、第一次世界大戦で亡くなったラグビー選手たちを追悼する「ローズ&ポピー・ゲート」も存在します。「Core Values Statue」は、イングランドラグビーの5つのコアバリューを表現しています。

まとめ

トゥイッケナム・スタジアムは、ラグビーの歴史と伝統が息づく聖地です。競技場としての機能だけでなく、博物館、ホテルなどの施設を備え、多様なイベントを開催する複合施設としての役割も担っています。その歴史、規模、そして施設の充実さは、ラグビーファンのみならず、多くの人々を魅了する魅力を持っています。

もう一度検索