トゥーラ (ロシア)

トゥーラの概要

トゥーラ（ロシア語: Ту́ла）は、ロシアのトゥーラ州の州都であり、人口は約47万人（2021年時点）です。モスクワから南に165km、ウパ川のほとりに位置するこの都市は、重要な産業都市として知られ、高速道路M2が通っています。

歴史的背景

トゥーラの歴史は古く、1146年にニコン年代記で言及された不明瞭な土地、タイドゥラに遡ると考えられています。少なくとも14世紀には存在しており、中世にはリャザン公国の防衛拠点として小規模な要塞が築かれました。モスクワ大公国に組み込まれると、1530年にはレンガ製の城塞、つまりクレムリンが建設され、1552年のタタール軍の包囲にも耐えました。特に、1607年にはイヴァン・ボロトニコフ率いる反乱軍が要塞を奪取するも、皇帝軍による長期の包囲戦に耐え抜きました。

1712年には、ピョートル大帝がトゥーラを訪れ、デミドフにロシア初の軍需工場設立を許可しました。この結果、デミドフ家の努力により、トゥーラは東ヨーロッパ最大の鉄工業の中心地となりました。1724年には兵器に関する博物館が設立され、18世紀にはサモワール製造を開始。クレムリンの生神女就寝大聖堂も1764年に建設され、独特の景観をもたらしています。デミドフ家が拠点をウラル地方に移した後も、トゥーラは重工業の中心地としての地位を確保しました。

大祖国戦争とその後

1941年から1945年までの大祖国戦争では、トゥーラは兵器の生産で重要な役割を果たし、特にモスクワ防衛戦において重要な拠点となりました。ドイツ軍の攻撃に対しては、トゥーラは1941年10月から12月にかけての厳しい包囲戦に耐え、激しい戦闘の末に勝利を収めました。この戦いを経て、トゥーラは1976年に「英雄都市」の称号を受けることになりました。また、都市にはクロコヴォ空軍基地も存在し、軍事的な重要性を持っています。

文化と観光

トゥーラは、楽器トゥーラ・アコーディオンの生産地としても知られ、多くの国で流通しています。また、ロシアの伝統的な焼き菓子であるプリャーニクや、サモワール製造の中心地としても有名です。トゥーラにまつわる言い回しとして「トゥーラにサモワールを持って行くな」という言葉があります。

この都市の近郊には、著名な作家レフ・トルストイの家と墓地があるヤースナヤ・ポリャーナがあり、観光名所として大変人気です。トルストイは、ここで『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』などの名作を執筆しました。

通りの名前と交通

トゥーラは戦争の歴史を反映して、多くの通りが軍事関連の名前で名付けられています。たとえば、銃剣通りや火薬通りがあります。また、AK-47を設計したミハイル・カラシニコフが勤務していた造兵廠もこの地にあり、軍事文化が色濃く残っています。

交通手段としては市電が整備されており、観光客にとっての利便性も高いです。トゥーラは、国際的な姉妹都市を持ち、さまざまな国との交流を行っています。

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