トゥーレ (曖昧さ回避)

トゥーレ (Thule, Touré, Tureなど)

概説

「トゥーレ」という言葉は、その綴りや発音の多様性から、実に様々なものを指し示すのに用いられています。古くは伝説上の極北の地として語り継がれ、実在の地名や組織、さらには天体や船舶、そして特に著名な人物の姓や名としても広く知られています。文脈によって意味が大きく異なるため、注意が必要です。主な例として、以下のものが挙げられます。

地理、伝説、文化に関連するもの (主にThule)

古代ギリシャやローマの文献に登場する伝説上の極北の地は「トゥーレ」(ギリシャ語: Θούλη)と呼ばれ、世界の果てにある神秘的な島として描かれました。この伝説は、後の時代の探検家たちを刺激し続けました。
現代においては、グリーンランドにも「トゥーレ」ゆかりの名称が残っています。グリーンランド北部の町カーナークは、デンマーク語での旧称をトゥーレ、英語での旧称をテューレといいました。この地にはアメリカ軍のチューレ空軍基地も置かれています。また、かつてグリーンランドに居住し、独自の文化を築いた先住民はトゥーレ人と呼ばれ、彼らが担った文化はトゥーレ文化として知られています。
南大西洋に位置するサウスサンドウィッチ諸島には、テューレ島と名付けられた島があります。
ヨーロッパ大陸では、フランス西部ヴィエンヌ県にThuréという名のコミューン（市町村）が存在します。
さらに、メキシコにある世界最大の木のひとつは、トゥーレの木としてギネスブックにも記録されています。

組織と天体 (Thule)

歴史上の組織としては、1918年にドイツのミュンヘンで結成されたトゥーレ協会が知られています。これは民族主義的、反ユダヤ主義的な思想を持つ秘密結社でした。
宇宙に存在する天体にも「トゥーレ」の名がつけられています。小惑星のひとつに第279番小惑星チューレがあり、太陽系外縁天体である(486958) 2014 MU69は、その二つのローブが結合した形状からウルティマとトゥーレという通称で呼ばれています。

人名 (Touré, Ture, Zülleなど)

「トゥーレ」という響きは、特に西アフリカ諸国で一般的な姓Touréとしても知られています。この姓を持つ著名人には、19世紀にサモリ帝国を興したサモリ・トゥーレ、ギニア共和国の初代大統領を務めたセク・トゥーレ（サモリ・トゥーレの曽孫にあたる）、マリ共和国の大統領を務めたアマドゥ・トゥマニ・トゥーレといった歴史的・政治的な人物がいます。また、サッカー界にも多くの才能を輩出しており、コートジボワール出身の兄弟選手であるコロ・トゥーレとヤヤ・トゥーレ、セネガル出身のザルゴ・トゥーレなどが世界的に活躍しました。
スウェーデンにおいては、Tureという男性名が見られます。これは北欧神話の雷神[トール]に由来し、トーレ(Tore)と同源とされています。この名を持つ人物には、作曲家のテューレ・ラングストレムや社会学者のトゥーレ・ネルマンなどがいます。
その他、スイスの元自転車選手アレックス・ツーレ(Zülle)のように、類似した発音を持つ姓の人物も存在します。

その他の事例

「トゥーレ」の名は、特定の乗り物にも用いられています。かつて存在したスウェーデンの海防戦艦にはトゥーレという艦名のものがありました。また、日本の競馬界においては、エアトゥーレという競走馬が知られ、この馬は後にGIレースを制覇したキャプテントゥーレの母親にあたります。

まとめ

このように、「トゥーレ」という言葉は、古代の伝説から現代の宇宙、地理的な場所、歴史上の組織、そして数多くの著名な人々に至るまで、非常に多岐にわたる意味合いを持っています。その使用例を理解するには、文脈を注意深く把握することが不可欠です。

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