トウジンビエ

トウジンビエ（唐人稗）

トウジンビエ（学名: Pennisetum glaucum）は、イネ科チカラシバ属に属する一年生の草本植物であり、一般的に雑穀として栽培されています。この植物はトウモロコシに似た特徴を持ち、成熟した際には高さが1～3メートルほどに達します。幅約5センチメートルの葉は長さが1メートルにもなり、特に夏から秋にかけて先端にはガマに似た白い円筒形の穂が成長します。この穂は直径数センチメートル、長さが30～40センチメートルにおよびます。穎果は米粒よりもわずかに小さく、青みがかった色合いをしています。トウジンビエには、栽培される白い品種や自然界で見られる黒い品種があり、時には「クロキビ」と呼ばれることもあります。

起源と栽培の歴史

トウジンビエの栽培は、インドとアフリカにおいて先史時代から行われていることが確認されています。最も古い考古学的証拠は紀元前2000年のインドで見つかっており、一般的にはアフリカのスーダン地域がその発祥地であると考えられています。トウジンビエの起源は熱帯アフリカにあり、特に西アフリカのサヘル地帯には豊富な品種が存在します。この植物はその後、栽培が東アフリカや南部アフリカ、さらには南アジアにも広がっていきました。

栽培条件と特性

トウジンビエは、少雨、貧栄養土壌、高温という過酷な条件に強く適応しています。特に高塩分の土壌でも育つため、通常の穀物が栽培できない地域でも生産可能です。他の穀物、特にソルガムが育たない土地でも栽培されることが多く、年間降水量が350mmから600mmの地域で特に生産が盛んです。一方で、日本の高温多湿の気候では栽培が見られません。

現在の生産状況

現在、トウジンビエの栽培面積は全世界で26000平方キロメートルに達し、雑穀栽培の約50%を占有しています。特にサハラ砂漠の南側に位置するサヘル地帯では、ニジェールをはじめとする国々で主要な穀物として生産されています。その他にも、マリやブルキナファソのような国でも多く栽培されています。

利用方法

トウジンビエは多様な用途があり、主に実を粉状に加工してパンやクスクス、さらに粥にして食べるほか、酒の原料としても用いられます。また、植物体や実は家畜や鳥の飼料としても重宝されています。近縁の植物としては、日本の路傍で見られるチカラシバや家畜飼料に利用されるナピアグラスなどがあります。

トウジンビエは、特に乾燥地帯において持続可能な食料源として重要な役割を果たしています。

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