トウヨウミツバチ

トウヨウミツバチ（東洋蜜蜂）について

トウヨウミツバチ（学名：Apis cerana）は、ミツバチ科に属する昆虫で、東アジア、東南アジア、南アジアにかけて広く分布しています。この種は、その生態や社会行動において、特筆すべき点がいくつかあります。

分類

トウヨウミツバチは、Apis koschevnikovi と姉妹種の関係にあり、両種ともセイヨウミツバチ（Apis mellifera）と同じ亜属に分類されます。これは、これらの種が共通の祖先を持つことを示唆しています。

亜種

1999年にEngelによって、トウヨウミツバチは以下の8つの亜種に分類されました。

Apis cerana cerana (チュウゴクミツバチ): アフガニスタン、パキスタン、インド北部、ベトナム北部、中国南部海岸、台湾、朝鮮半島、沿海州に分布。
Apis cerana heimifeng (チュウゴククロミツバチ): 中国北部の高地に生息。
Apis cerana indica (インドミツバチ): インド南部、スリランカ、バングラデシュに分布。
Apis cerana japonica (ニホンミツバチ): 日本に固有の亜種。
Apis cerana javana: ジャワ島から東ティモールにかけて分布。
Apis cerana johni (スマトラミツバチ): スマトラ島に生息。
Apis cerana nuluensis (ボルネオミツバチ): ボルネオ島に生息。
Apis cerana skorikovi (ヒマラヤミツバチ): ヒマラヤ山脈の中部から東部に分布。

ただし、近年行われた分子系統解析では、これらの亜種の分類について再考が必要であることが示唆されています。特に、ボルネオの Apis cerana nuluensis は、現在では独立種 Apis nuluensis として扱われるべきであるという見解が強まっています。また、一部の亜種は、ボルネオに生息する Apis koschevnikovi やフィリピンに生息する Apis nigrocincta との誤同定である可能性も指摘されています。

生態

トウヨウミツバチのコロニーは、外敵の侵入を防ぐために、巣の入り口が小さい構造をしています。巣は内部に複数の巣盤を持ち、この空間で社会生活を営みます。主な食物は花粉と花の蜜です。他のミツバチと同様に、トウヨウミツバチも高度な社会行動を示します。

特にニホンミツバチは、スズメバチが巣に侵入した際、「熱殺蜂球」（ミツバチボール）と呼ばれる独特の方法で撃退することで知られています。この行動は、多数のミツバチがスズメバチを球状に取り囲み、発熱によって蒸し殺すというものです。熱殺蜂球に参加したミツバチは寿命が短くなりますが、これは他の仲間を守るための自己犠牲的な行動であると考えられています。最近の研究では、一度熱殺蜂球に参加したミツバチは、次にスズメバチが来た際に積極的に参加することが判明しており、これにより、コロニー全体の寿命を延ばしていることが示唆されています。

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