トケラウ

トケラウは、南太平洋に浮かぶニュージーランド領の島嶼群であり、自治領としての顔も持っています。かつてはユニオン諸島として知られていましたが、現在ではトケラウ諸島を構成するアタフ島、ヌクノノ島、ファカオフォ島の三つの環礁から成り立っています。これらの環礁は、国際連合によって非自治地域としてリストアップされています。

特筆すべき点として、同じトケラウ諸島に属するスウェインズ島（地元ではオロセンガ島と呼ばれています）が、アメリカ領サモアの一部となっていることが挙げられます。トケラウ政府は、この島が本来トケラウに帰属すべきであると主張し、返還を求めています。

地名の由来

「トケラウ」という名前は、トケラウ語で「北風」を意味する言葉に由来します。かつては、ヨーロッパ人の探検家によってユニオン諸島やユニオン群島などと呼ばれていましたが、1946年にトケラウ諸島という名称が採用され、1976年12月9日には正式にトケラウへと改称されました。

歴史

1765年、イギリスの軍艦がアタフ島を発見したとされ、1889年にはトケラウはイギリスの保護領となりました。その後、1916年にはイギリス領ギルバート・エリス諸島に編入され、1925年にはニュージーランドの管理下に移行、1948年には正式にニュージーランド領となりました。1981年のトケフォア条約では、スウェインズ島がアメリカ領（米領サモアの一部）であることが確認されました。

2006年と2007年には、ニュージーランドとの自由連合国への移行に関する住民投票が実施されましたが、必要な得票率に届かず否決されました。しかし、2006年2月15日の住民投票では、スウェインズ島がトケラウの一部であるという主張が明確になりました。2011年12月29日には、サモアが日付変更線を移動したことに伴い、トケラウも標準時をUTC+13に変更しました。

地理

トケラウは、南太平洋の西経171度から173度、南緯8度から10度の間に位置しており、ハワイ州とニュージーランドのほぼ中間にあたります。サモアからは北へ約500kmの場所に位置しています。3つの環礁は、北のアタフ島から南のファカオフォ島まで、約200kmの範囲に点在しています。これらの環礁は、かつてそれぞれクラレンス公グループ、バウディッチ島と呼ばれていました。総面積は10.8km²と小さく、それぞれの環礁には珊瑚礁の島があり、そこに村が形成されています。トケラウの最高地点は海抜わずか5メートルです。大型船が利用できる港はありませんが、各環礁には桟橋が設けられており、物資や旅客の輸送が行われています。気候は太平洋の熱帯低気圧帯に属しています。スウェインズ島は、地理的、歴史的にはトケラウの一部とみなされていますが、政治的にはアメリカ領であり、トケラウ政府は返還を求めています。

経済

トケラウの経済は、農業と漁業が中心ですが、そのほとんどが自給的なものです。主要な作物としてはコプラが挙げられます。島内での民間雇用は限られており、海外への出稼ぎ者からの送金に大きく依存しているため、経済的な自立は困難な状況です。一方で、トケラウに割り当てられた国別ドメイン名「.tk」を貸し出すことで外貨を得ています。このドメイン名の管理は、オランダのTaloha, Inc.に委託されています。

トケラウには空港がなく、3つの環礁への主な交通手段はカタマラン（双胴船）による連絡便です。その他には、月に一度程度の貨物船が寄港します。1948年からは独自の切手を発行しており、万国郵便連合にはニュージーランドの一部として加盟しています。

住民

トケラウの住民は、ポリネシア系のトケラウ人がほとんどです。一部には、ヨーロッパ人とポリネシア人の混血も見られます。公用語としては、英語とトケラウ語が使用されています。トケラウ語はサモア語に近い言語です。宗教は、ロンドン伝道教会が68%、カトリックが29%を占めています。

トケラウは、その地理的な位置、歴史、文化において、独特の魅力を持つ地域です。今後の発展と、スウェインズ島問題の解決が期待されます。

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