トチバニンジン

トチバニンジン（栃葉人参）

トチバニンジン（学名：Panax japonicus）は、日本原産のウコギ科トチバニンジン属の多年草であり、薬用植物としても知られています。英名ではJapanese ginsengと呼ばれます。和名の由来は、その葉の形がトチノキの葉に似ていることに由来します。

特徴

トチバニンジンは、外見がオタネニンジン（高麗人参）に似ています。しかし、根茎はオタネニンジンとは異なり、竹の節のような結節があり、横に伸びるのが特徴です。この節くれだった根茎の形状から、別名チクセツニンジン（竹節人参）とも呼ばれます。

茎は根茎の先端から1本だけ直立し、高さは50cmから80cm程度に成長します。葉は、長い柄のある5枚の小葉で構成される掌状複葉で、茎の頂部に3枚から5枚が輪生します。葉の縁には細かい鋸歯があります。

花期は夏で、6月から8月にかけて、茎頂の葉の集まり部分から長い柄を出し、その先端に散状花序をつけます。淡黄緑色の小さい花を多数つけ、秋には赤い果実を実らせます。

分布と生育環境

トチバニンジンは、日本では北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林の中に比較的稀に自生します。また、中国の四川省にも産すると言われていますが、同一の植物であるかどうかの結論はまだ出ていません。

生育環境としては、半日陰で腐植に富んだ、柔らかい土壌を好みます。オタネニンジン（高麗人参）とは異なり、寒冷な環境に適応しています。

利用

トチバニンジンの根茎は、竹節人参（ちくせつにんじん）または竹節三七（ちくせつさんしち）という生薬として利用されます。解熱、去痰、咳、吐血、打撲、健胃薬としての効果が期待できます。利用方法としては、秋に地上部分が枯れてから根茎を掘り起こし、細根を取り除いた後、湯通しして天日で乾燥させます。

新陳代謝機能は高麗人参よりも劣りますが、解熱や去痰作用は優れているとされています。体を温める作用があり、痰が多く寒いときに出る咳に効果的です。

有効成分としては、数種類のジンセノサイドを含むサポニンや、特有のチクセツサポニンが含まれています。使用方法としては、乾燥させた根茎5gを400gの水に入れて煎じ、1日に3回ほどに分けて服用します。また、生の根茎をホワイトリカーに漬けて薬酒として、就寝前に少量飲むのも良いとされています。ただし、妊婦への服用は禁じられています。

また、トチバニンジンには局所刺激作用があることから、育毛剤に配合されることもあります。

参考文献

貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、104頁。ISBN 4-09-208016-6
馬場篤『薬草500種－栽培から効用まで』大貫茂（写真）、誠文堂新光社、1996年9月27日、80頁。ISBN 4-416-49618-4

外部リンク

* 第一三共ヘルスケア（竹節人参を配合した育毛剤「NFカロヤンアポジカΣ」の製造販売元）

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