トニー・サウスゲート

トニー・サウスゲートのキャリア

トニー・サウスゲート（1940年5月25日生まれ）は、イギリス出身の著名なレースカーデザイナーであり、特にフォーミュラカーやスポーツプロトタイプのデザインで知られています。彼のキャリアはF1の世界で20年以上にわたり、特に1988年のル・マン24時間レースで優勝したジャガー・XJR-9LMの設計で注目を集めました。サウスゲートは、F1、ル・マン、インディ500などの主要なレースで勝利を収めた唯一のカーデザイナーとしてその名を知られています。

初期のキャリア

1960年代の初めに、サウスゲートは750モータークラブに入会し、レースに対する情熱を燃やしました。1958年にサウスゲートはローラに入社し、プロフェッショナルなキャリアをスタート。ローラではF1カーやレーシングスポーツカーに関わり、インディ500の成功にも寄与しました。彼が設計したローラ・T90は、グラハム・ヒルによって駆られ、インディ500での重要な勝利を手にしました。

オール・アメリカン・レーサーズでの活躍

1967年、サウスゲートはローラを退職し、ダン・ガーニーのオール・アメリカン・レーサーズ（AAR）に加わりました。そこで彼はインディカーやフォーミュラ5000車両に携わり、1968年のインディ500でボビー・アンサーの乗る「イーグル」を設計し、チームに初優勝をもたらしました。その後の設計でも熱心に取り組みましたが、問題も発生し、サウスゲートはカリフォルニアでの生活に慣れる一方、妻のホームシックに悩まされました。

BRMへの移籍と成功

1969年にイギリスに帰国し、サウスゲートはBRMのチーフデザイナーになります。彼が手掛けたF1カー、P153やP160は成功を収め、サウスゲートの名声を高めましたが、1972年にエースドライバーを事故で失ったことが影を落とし、その後のチームの成績も振るわず、サウスゲートはBRMを去ることに決めました。

シャドウとアロウズでの挑戦

1972年末、サウスゲートはシャドウに移籍し、F1における新たな挑戦が始まります。その後、自身が関与したアロウズを創設しましたが、設計したFA1がシャドウの車両と類似していたため、特許問題に直面しました。それでもサウスゲートは迅速に新車の開発に取り組み、シーズン終盤には見事A1を完成させました。

1980年代以降のスポーツプロトタイプの時代

サウスゲートは1980年代に入ると、グループCカーやIMSA GTP車両のデザインを手がけることになります。特にトム・ウォーキンショー・レーシング（TWR）でのジャガー・XJRシリーズの設計が著名です。1988年のル・マン24時間レースでは彼の設計したXJR-9LMが総合優勝を果たし、さらなる名声を得ました。サウスゲートの設計理念には、F1での経験を生かした高剛性のカーボンモノコックの採用があり、彼の手法は当時のレース設計に革新をもたらしました。

引退とその後

2000年には60歳でエンジニアとしてのキャリアを終え、アウディのR8CとR8Rの開発に関与することで長いキャリアを締めくくりました。サウスゲートの設計した車両は、多くのレースで勝利を収め、彼の功績は現在もモータースポーツ界で称えられています。

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