トニー・ラダキン

サー・トニー・ラダキン：イギリス国防を担う海軍大将

サー・アントニー・デイヴィッド・ラダキン、通称サー・トニー・ラダキンは、1965年生まれのイギリス海軍軍人、法廷弁護士です。現在は国防参謀総長を務め、イギリスの防衛政策において重要な役割を果たしています。

経歴

ランカシャー州オールダムで生まれたラダキンは、サウサンプトン大学で法学を学び、英国海軍の奨学金を得て法学士号を取得しました。海軍勤務と並行して弁護士としても活動し、法廷弁護士資格を取得。その後、キングス・カレッジ・ロンドンで国際関係論と国防学の修士号を取得しています。

海軍軍人としてのキャリア

1990年にイギリス海軍に入隊後、巡視船やフリゲート艦での勤務を経て、1993年には「ブレイザー」艦長に就任。その後もフリゲート艦「ノーフォーク」艦長、米英イラク海軍移行チームの指揮官、第158合同任務部隊指揮官などを歴任し、アメリカ大統領から青銅星章を授与されるなど、その能力は高く評価されています。

2018年には第二海軍卿兼海軍参謀次長に任命され、2019年には第一海軍卿兼海軍参謀総長に就任。この間、「Royal Navy Transformation」と題した海軍改革を推進し、北大西洋での作戦能力向上、空母打撃群の展開、海兵隊の改革、テクノロジーの活用など、多岐にわたる改革に取り組みました。

国防参謀総長として

2021年11月、国防参謀総長に就任。就任後初の演説では、イギリスの安全保障上の見通しを「ここ三十年で極めて危険かつ複雑な状態」と表現し、地政学的リスクへの警鐘を鳴らしました。また、軍の多様性とリーダーシップの改善を訴え、組織改革の必要性を強調しました。

ウクライナ情勢についても積極的に発言しており、ロシアの脅威に対する警戒を呼びかけるとともに、ウクライナへの支援の重要性を訴えています。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の判断を批判し、ロシアの戦略的失敗を指摘するなど、明確な姿勢を示しています。

2023年には、チャールズ3世の戴冠式でイングランド大司馬を務めました。

人物

既婚者であり、4人の息子がいます。イギリス海軍スカッシュ協会とイギリス軍テニス協会の会長を務めるなど、スポーツにも造詣が深い人物です。

サー・トニー・ラダキンは、海軍軍人としての豊富な経験と、法廷弁護士としての論理的な思考力を活かし、イギリスの国防政策において重要な役割を果たしています。現代の安全保障課題に積極的に取り組み、組織改革を推進するその姿勢は、国内外から高く評価されています。

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