トビ

トビ（鳶）

トビ（学名: Milvus migrans）は、タカ目タカ科に属する鳥で、日本では非常に身近な猛禽類として知られています。この鳥は、特にその独特な飛翔スタイルと特徴的な鳴き声、「ピーヒョロロロロ」で知られています。トビは、ほとんど羽ばたかずに尾羽を駆使し、上昇気流に乗りながら優雅に空を舞う様子が印象的です。

分布

トビはユーラシア大陸からアフリカ大陸、さらにはオーストラリアに至るまで広く分布しています。特に寒冷地に生息する個体は冬になると暖かい地域へ移動する特徴があります。生息環境は多岐にわたり、高山から海岸線まで、さらには農地や都市部でも見られます。特に漁港周辺ではトビの数が増える傾向があります。

形態

トビは体長がオス約59cm、メス約69cmと、タカ科の中では比較的大きなサイズを誇ります。翼を広げると150〜160cmにもなり、体色は褐色と白のまだら模様です。目の周りは黒褐色で、地上や樹上では尾羽が三角形に切れ込んでいることがありますが、飛んでいる時は尾羽の先端が真っ直ぐになることもあります。

生態

飛翔

トビは主に上昇気流を利用して滑空します。視力が非常に優れていて、空中から餌を見つけると急降下して捕獲します。カラスとの食物競争がしばしば見られ、カラスはトビが近くにいると集団で攻撃したり追い払うこともあります。

捕食

トビの食性は主に腐肉食ですが、死骸だけでなくカエルやトカゲ、ネズミ、生きた魚といった小動物も捕食します。都市部では生ゴミを漁ることが多く、公園などでは人が持っている食べ物を狙う姿も見られます。餌が豊富な場所では多数のトビが飛んでいる光景が観察されますが、集団飛行はそれほど行わないようです。ねぐらでは他のトビと共に群れを作ることがあります。

営巣

営巣は通常樹上に行いますが、地上の断崖などにも巣を作ることがあります。雌は一般的に2個の卵を産む習性があります。

鳴き声

トビの鳴き声は特徴的で、様々な場面で耳にします。特に夕方に「ピーヒョロヒョロ」と鳴く姿は親しまれています。

亜種

日本に生息するトビは留鳥であり、比較的安定した生息が見られます。一方、ヨーロッパや中央アジアの亜種は冬になると南へ渡る渡り鳥として知られています。アフリカの亜種、インドの亜種、オーストラリアの亜種は主に留鳥です。

日本との関係

トビは日本の文化にも深く根付いています。「鳶に油揚げをさらわれる」ということわざがありますが、これはトビが手に持っている食べ物に飛びかかって奪う様を表現したものです。トビは大柄で目立つため、多くの人に親しまれています。

日本の童謡やアニメにもしばしば登場し、平凡な存在でありながらも、様々なイメージを持たれています。

トビに関する用語

• - 鳶色: トビの羽の色に似た暗い茶褐色
• - 鳶職: 高所作業専門の職人
• - 鳶口: トビのくちばし形状を模した器具
• - ことわざ: 「鳶が鷹を産む」など。

トビは、単なる鳥類としてだけでなく、日本文化や人々の生活とも密接に関わっている存在です。

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