トマス・デンマン (第3代デンマン男爵)

第3代デンマン男爵トマス・デンマン：激動の時代を生きた貴族

第3代デンマン男爵トマス・デンマン（1874年11月16日 - 1954年6月24日）は、イギリスの貴族、政治家であり、1911年から1914年までオーストラリア総督を務めました。彼の生涯は、19世紀末から20世紀中盤にかけての激動の時代を反映しています。

生い立ちと爵位継承

1874年、トマス・デンマンは巡回裁判書記官リチャード・デンマンとその妻ヘレンの息子としてロンドンで生まれました。父リチャードは、初代デンマン男爵トマス・デンマンの孫にあたります。彼はサンドハースト王立陸軍士官学校を卒業後、1894年8月9日に大叔父である第2代デンマン男爵の死去に伴い、19歳という若さで第3代デンマン男爵を継承しました。

軍歴と政治キャリア

デンマン男爵は、ボーア戦争に従軍し、1900年2月3日に帝国ヨーマンリーの中尉に任官。その後、1902年4月30日にはミドルセックス(ケンブリッジ公軽騎兵連隊)帝国ヨーマンリーの少佐に昇進しました。

政治家としては、21歳から自由党の貴族院議員として活動し、1905年から1907年まで議員たる侍従（貴族院与党幹事）、1907年から1911年まで名誉帯剣紳士隊長（貴族院与党院内幹事長）を務めました。1909年には貴族院副議長も務めています。

オーストラリア総督として

1911年、デンマン男爵はオーストラリア総督に任命され、1914年までその職を務めました。前任のダドリー伯爵とは対照的に、「私は労働者が好きだ」と公言し、アンドリュー・フィッシャー労働党政権との友好関係を築くことに尽力しました。1913年3月12日には、オーストラリア首都特別地域創設のセレモニーを主催しています。

しかし、1913年5月の総選挙で連邦自由党が勝利し、ジョゼフ・クックが政権を握ると、上院で労働党が多数派を維持したため、政治は混乱しました。デンマン男爵の健康状態も悪化し、この混乱を収拾することができず、1914年5月に辞任しました。

第一次世界大戦と晩年

総督辞任後、デンマン男爵は第一次世界大戦に従軍し、ミドルセックス・ヨーマンリーの中佐として戦いました。1919年から1924年までは、貴族院自由党幹事長を務めています。

1954年6月24日、デンマン男爵はサセックス・ホヴで死去しました。爵位は長男のトマス・デンマンが継承しました。

栄典

1834年創設のダービー州におけるダブデールの第三代デンマン男爵
1909年、ロイヤル・ヴィクトリア勲章ナイト・コマンダー(KCVO)
1911年、聖マイケル・聖ジョージ勲章ナイト・グランド・クロス(GCMG)

家族

1904年11月26日、初代カウドレー子爵ウィートマン・ピアソンの娘ガートルードと結婚し、二人の子をもうけました。

長男：第4代デンマン男爵トマス・デンマン (1905-1971)
* 長女：アン・ジュディス・デンマン (1907-1987) - 第8代準男爵ウォルター・バレルと結婚


トマス・デンマンは、激動の時代に翻弄されながらも、軍人、政治家、そして貴族として、それぞれの立場で重要な役割を果たした人物でした。

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