トマス・ド・ビーチャム (第12代ウォリック伯)

第12代ウォリック伯トマス・ド・ビーチャム

第12代ウォリック伯トマス・ド・ビーチャム（1338年 - 1401年）は、中世イングランドの貴族であり、リチャード2世の治世において重要な役割を果たしました。

生涯

トマス・ド・ビーチャムは、第11代ウォリック伯トマス・ド・ビーチャムの次男として生まれました。兄が早世したため、1369年に父の跡を継いでウォリック伯となりました。

1373年には、ジョン・オブ・ゴーントによるフランスでの作戦に参加しますが、この作戦は失敗に終わります。1376年の善良議会では、貴族院の代表委員として政治改革を推進しました。また、1381年のワット・タイラーの乱では、鎮圧軍の一員として活躍しました。

しかし、トマス・ド・ビーチャムは、グロスター公トマス・オブ・ウッドストックや第11代アランデル伯リチャード・フィッツアランらと共に、リチャード2世の側近を議会で訴追する「訴追派貴族」の一人となります。ただし、グロスター公やアランデル伯と異なり、個人的な確執からではなく、オックスフォード伯ロバート・ド・ヴィアーの専横を危険視したことが参加の動機でした。そのため、リチャード2世の廃位には慎重な立場を取っていました。

1386年、訴追派貴族はリチャード2世に圧力をかけ、初代サフォーク伯マイケル・ド・ラ・ポールを弾劾し投獄します。さらに1387年には、オックスフォード伯とサフォーク伯を批判する訴状を議会に提出しました。

同年、訴追派貴族の軍は、リチャード2世の支援を受けたオックスフォード伯の軍をラドコット・ブリッジの戦いで破り、宮廷と議会を掌握します。1388年には、非情議会を招集し、国王側近に次々と死刑判決を下しました。

しかし、リチャード2世の廃位については、後継者選びで諸侯の意見がまとまらず、実現しませんでした。その後、リチャード2世は徐々に権威を回復し、1389年には親政を開始、グロスター公やアランデル伯らを解任しました。

リチャード2世は、内心では訴追派貴族への復讐を企てており、1397年、ウォリック伯はグロスター公やアランデル伯と共に逮捕されます。グロスター公は暗殺され、ウォリック伯とアランデル伯は裁判にかけられます。アランデル伯は死刑判決を受けましたが、ウォリック伯は罪を告白し、国王に慈悲を乞うたため、マン島への終身流刑に減刑されました。

1399年、リチャード2世が王位を追われ、同じ訴追派貴族であったヘンリー・ボリングブルックがヘンリー4世として即位すると、ウォリック伯は釈放されます。そして、ヘンリー4世治世下最初の議会で、かつての罪の告白は虚偽であったと主張しようとしましたが、ヘンリー4世に制止されました。

1401年4月8日、トマス・ド・ビーチャムは死去しました。爵位は息子のリチャード・ド・ビーチャムが継承しました。

栄典

1369年: 第12代ウォリック伯
ガーター騎士団ナイト

家族

マーガレット（第3代グロービーのフェラーズ男爵ウィリアム・フェラーズの娘）と結婚し、リチャード・ド・ビーチャムを儲けました。

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