トムス童夢・セリカC

トムス童夢・セリカCの概要

トムス童夢・セリカCは、1982年の世界耐久選手権（WEC-JAPAN）に向けて、トムスと童夢が共同で開発した日本初のグループCカーです。この車両は、トヨタが製造した2リッター直列4気筒ターボエンジンである2T-G改を搭載し、耐久レースに特化した純粋なレーシングマシンとしての側面を持っています。ただし、開発にあたっては、トヨタがマーケティングの観点から市販車であるセリカのイメージを重視したため、ルーフ部分にはA60系セリカのデザイン要素が強く反映されています。これにより、セリカのイメージを残しつつも、機能面では他のセリカの部品は一切使用していない、真のグループCカーとしての仕様が実現しています。

デビューとレース展開

トムス童夢・セリカCは、1982年8月に鈴鹿1000kmでデビューしましたが、このレースでは残念ながら周回をすることもなくリタイヤしてしまいました。しかし、その後の同年10月に開催されたWEC富士6時間では、カウルにトラブルがあったものの、最後まで走り切り、5位という成績を収めました。この結果はトヨタにとって重要な励みとなり、翌年にはセリカのイメージから解放された新たなグループCカーであるトムス・83Cの開発へとつながりました。

トムス・82Cへ

1983年には、トムス童夢・セリカCに改良を加えたトムス・82Cが鈴鹿500kmや富士500kmで参戦しました。この車両は、セリカCのフロントカウルを一部変更したもので、レースにおけるパフォーマンスの向上を狙った改良が施されています。

セリカCの意義

トムス童夢・セリカCは、日本のモータースポーツ界において重要な存在であり、その開発過程やレース経験は、後のグループCカー開発に大きな影響を与えました。特に、トヨタのマーケティング戦略と自社開発のレーシングマシンがどのように融合したかを示す良い事例となっています。

トムス童夢・セリカCは、ただのレーシングカーではなく、トヨタのブランドイメージを支えた重要なモデルでもあったため、マシンとしての性能とマーケティング戦略は不可分の関係にありました。利用されるデザイン要素やエンジン技術は後のモデルにも引き継がれ、トヨタのレースカー開発の礎となったのです。

この車両がもたらした影響は、今もなお多くの自動車愛好家やレースファンの間で語り継がれています。

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