トム・ケリー (ミュージシャン)

トム・ケリー：ヒット曲を量産した作曲家の軌跡

トム・ケリー（Tom Kelly、1952年4月16日 - ）は、ビリー・スタインバーグとの作曲パートナーシップで、1980年代の音楽シーンを席巻したアメリカのミュージシャンです。数々のアーティストに楽曲を提供し、Billboard Hot 100チャートで5曲のナンバーワン・シングルを含む、数多くのヒット曲を共同で作曲しました。

初期の音楽活動

インディアナ州で育ったケリーは、音楽への情熱を抱き、東イリノイ大学、南イリノイ大学カーボンデール校、パデュー大学に通いながらも、音楽の道を追求するために大学を中退しました。1960年代後半から1970年代初頭にかけて、イリノイ州やインディアナ州の様々なバンドでベースを演奏し、歌唱も担当しました。Trifaris、Gaping Huggers、One Eyed Jacks、Guildといったバンドで音楽経験を積みました。

1974年、ケリーはロサンゼルスに移り住み、ダン・フォーゲルバーグのバックバンドで演奏する傍ら、フールズ・ゴールド (Fools Gold)というバンドを結成し、1976年と1977年に2枚のアルバムをリリースしました。また、1979年のワールドツアーではTOTOにバッキング・ボーカリストおよびリズム・ギタリストとして参加し、『TOTO IV〜聖なる剣〜』『アイソレーション』『ザ・セブンス・ワン〜第7の剣〜』などのアルバムでバックボーカルを務めました。1981年には、パット・ベネターのヒット曲「Fire and Ice」を書き上げ、作曲家としての才能を開花させました。

ビリー・スタインバーグとの出会いと黄金期

1981年のパーティでビリー・スタインバーグと出会ったことが、ケリーのキャリアを大きく変えました。二人は作詞家と作曲家という役割分担で共同制作を開始し、数々の大ヒット曲を生み出しました。彼らの楽曲は、シンディ・ローパー、マドンナ、ホイットニー・ヒューストンなど、多くの著名なアーティストによって歌われ、世界中で愛されました。また、アイ・テン (i-Ten)というグループ名義でも活動し、1983年にアルバム『テイキング・ア・コールド・ルック』をリリースしています。

主な楽曲

「トゥルー・カラーズ」 - シンディ・ローパー、フィル・コリンズ
「アローン」 - ハート、セリーヌ・ディオン
「恋の手ほどき IN YOUR ROOM」 - バングルス
「エターナル・フレーム」 - バングルス
「涙のオールナイト・ドライヴ」 - シンディ・ローパー、ロイ・オービソン、セリーヌ・ディオン
"I'll Stand by You" - プリテンダーズ
「アイ・タッチ・マイセルフ」 - ディヴァイナルズ
「ライク・ア・ヴァージン」 - マドンナ
* 「やさしくエモーション」 - ホイットニー・ヒューストン

これらの楽曲は、時代を超えて愛される名曲として、今もなお多くの人々に歌い継がれています。

2011年、スタインバーグとケリーはソングライターの殿堂入りを果たし、彼らの音楽的功績が讃えられました。

その後

REOスピードワゴンがケヴィン・クローニンとレコーディングした「涙のドリーム (In My Dreams)」をケリーは共同で作曲しましたが、1990年代半ばになると作詞作曲への熱意を失い、1998年に半引退しました。2011年現在、カリフォルニア州サウザンドオークスで穏やかな生活を送っており、ゴルフを楽しんでいます。

トム・ケリーは、音楽史に名を刻む数々のヒット曲を生み出した、才能あふれる作曲家です。彼の楽曲は、これからも多くの人々に感動と喜びを与え続けるでしょう。

外部リンク: Songfacts interview with Billy Steinberg
外部リンク: トム・ケリー - Discogs（英語）

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