トヨタ・アバロン

トヨタ アバロン：北米生まれの高級セダン

アバロンは、トヨタ自動車が北米を中心に展開する大型高級セダンです。その名は、ケルト神話に登場する理想郷「アヴァロン」に由来し、トヨタのフラッグシップモデルとしての地位を確立しています。

初代 MCX10型 (1994年 - 2000年)

1994年、北米トヨタの最上級車として誕生。クレシーダの後継モデルとして、アメリカ・ケンタッキー州の工場で生産が開始されました。初代アバロンは、その広々とした室内空間と快適な乗り心地で、北米市場で高い評価を得ました。日本へも逆輸入され、「THE NEXT LUXURY CAR」のキャッチコピーで販売されました。

日本での販売

日本では1995年から1999年まで、アメリカからの逆輸入という形で販売されました。テレビCMにはストレイ・キャッツの「好きにならずにいられない」や「銀色の道」が使用され、俳優の津川雅彦が出演していました。しかし、当時の日本市場にはクラウンやマークIIなど、競合となる人気車種が多数存在したため、販売は苦戦しました。

オーストラリア製モデル

オーストラリアでは、2000年から2005年まで初代モデルが生産・販売されました。オーストラリア、ニュージーランド、一部アジア諸国向けの右ハンドル仕様と、中東向けの左ハンドル仕様が生産されました。

2代目 MCX20型 (2000年 - 2005年)

2000年にフルモデルチェンジ。初代モデルと同様に、アメリカ・ケンタッキー州で生産されました。日本では「プロナード」の名称で販売されましたが、やはり販売は振るわず、短期間で販売を終了しました。元々が北米向けの車種であり、座席や車体サイズがクラウンやマークIIよりも大きかったことが、日本市場での不人気の一因と考えられます。

3代目 GSX30型 (2005年 - 2012年)

2005年の北米国際オートショーで発表。北米市場を中心に販売され、日本未導入となりました。エンジンは3.5L V6エンジンを搭載し、ボディサイズも大型化されました。グレードは、「XL」「Touring」「XLS」「Limited」の4種類が用意されました。

4代目 GSX40/AVV40型 (2012年 - 2018年)

2012年のニューヨーク国際オートショーで発表。先代モデルよりも若干小さくなり軽量化されました。北米市場では、「XLE」「XLE Premium」「XLE Touring」「Limited」の4グレードが用意されました。また、カムリやレクサスESと同等のユニットを搭載したハイブリッドモデルも追加されました。

5代目 GSX50/AVV50/XX50型 (2018年 - )

2018年の北米国際オートショーで発表。レクサス・ESと共通のTNGA-Kプラットフォームを採用し、ホイールベースが延長されました。エンジンは3.5リッターV6エンジンと、2.5リッター直4ダイナミックフォースエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドモデルが用意されました。コネクティッド機能も充実し、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応しました。

近年の北米市場におけるセダン型乗用車の需要の低下を受け、2022年末までに生産・販売が終了し、以降は中国市場専売車となりました。

車名の由来

車名の「アバロン」は、ケルト神話のアーサー王伝説に登場する楽園の島「アヴァロン」に由来します。トヨタは、この車名に、高級セダンとしての理想郷を追求する思いを込めたのかもしれません。

トヨタ自動車の大規模リコール (2009年 - 2010年) の余波

アバロンは、トヨタ自動車の大規模リコール (2009年 - 2010年) の対象車種となりました。このリコール問題は、アバロンの評判に悪影響を及ぼしましたが、トヨタはその後、品質改善に努め、信頼回復に努めました。

アバロンは、北米市場を中心に、その洗練されたデザインと快適な乗り心地で、多くのユーザーに愛されてきました。日本での販売は振るわなかったものの、その存在は、トヨタの高級セダンとしての歴史に深く刻まれています。

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