好きにならずにいられない

好きにならずにいられない (Can't Help Falling in Love)

エルヴィス・プレスリーの代表曲として知られる「好きにならずにいられない」は、1961年にシングルリリースされ、世界中で愛される名曲です。Billboard Hot 100で2位、全英シングルチャートで1位を獲得するなど、その人気は不動のものとなりました。作詞作曲はヒューゴ・ペレッティ、ルイージ・クレイトアー、ジョージ・ワイスの3人によって手がけられ、そのメロディはジャン・ポール・マルティーニの歌曲「愛の喜びは」を元にしています。

リリースと背景

この楽曲は、エルヴィス・プレスリー主演の映画『ブルー・ハワイ』のために制作されました。1961年3月23日、ハリウッドのラジオ・レコーダーズでレコーディングが行われました。ハワイアンミュージックの要素を取り入れるため、スティール・ギターやウクレレが使用され、29テイクものボーカル録音を経て完成しました。レコーディング中、プレスリーが思わず漏らした言葉も、海賊盤として残されています。

映画公開後、主題歌の「ブルー・ハワイ」をしのぐほどの人気を集めたため、シングルカットされました。全英シングルチャートでは4週連続1位を獲得し、アメリカでもビルボード誌のイージーリスニングチャートで6週連続1位を記録しました。プレスリーのライブでは、クロージングナンバーとして頻繁に披露され、観客を魅了しました。

2015年には、プレスリーの生誕80周年を記念したアルバムに、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との共演バージョンが収録されました。オーケストラによる壮大な演奏と、プレスリーの力強いボーカルが融合した新しい解釈が話題となりました。

この曲は、スポーツの世界でも愛され、イギリスの多くのサッカークラブでアンセムとして使用されています。また、Jリーグのアルビレックス新潟では、サポーターが選手入場の際に合唱するのが恒例となっています。2020年には、「最も人気のあるファーストダンスの曲」として1位に選ばれるなど、結婚式でも定番の曲となっています。

エルヴィス・プレスリー版の参加ミュージシャン

エルヴィス・プレスリー - ボーカル
スコティ・ムーア、ハンク・ガーランド - ギター
ボブ・ムーア - ベース
フロイド・クレーマー - キーボード
ダドリー・ブルックス - ピアノ、チェレスタ
ブーツ・ランドルフ - サクソフォーン
ジョージ・フィールズ - ハーモニカ
D・J・フォンタナ、ハル・ブレイン、バーニー・マティソン - ドラム
アルヴィノ・レイ - スティール・ギター
フレッド・タヴァレス、バーニー・ルイス - ウクレレ
ジョーダネアーズ - バッキング・ボーカル

UB40によるカバー

1993年には、UB40によるカバーバージョンがリリースされ、世界的な大ヒットとなりました。このカバーは、アメリカのBillboard Hot 100を含む11カ国のシングルチャートで1位を獲得し、彼らの代表曲の一つとなりました。このカバーバージョンは、映画『硝子の塔』のサウンドトラックとしても使用され、映画と共に広く知られるようになりました。

UB40版への評価

『オールミュージック』は、UB40版について「非常に優雅で、飲み込みやすい」と評価しました。『ビルボード』誌は、「エルヴィス・プレスリーへのオマージュ」であり、斬新なアレンジが魅力と評しています。また、『Music & Media』は、「輝き続ける太陽のようなレゲエのリメイク」と称賛しました。

A★TEENSによるカバー

2002年には、A★TEENSがカバーバージョンをリリースしました。このバージョンは、スウェーデンのシングルチャートで12位を記録しました。また、ディズニー映画『リロ&スティッチ』のサウンドトラックにも使用され、若い世代を中心に人気を博しました。

その他の主なカバー

「好きにならずにいられない」は、数多くのアーティストによってカバーされており、そのバリエーションの豊かさも魅力の一つです。

アンディ・ウィリアムス (1969年): 全英シングルチャートで3位を記録
スタイリスティックス (1976年): 全英シングルチャートで4位を記録
リック・ザ・ティンズ (1986年): 全英シングルチャートで42位を記録
コリー・ハート (1986年): カナダのチャートで1位、アメリカのチャートで24位を記録
Hi-STANDARD (2000年): パンクアレンジが特徴的
ラッセル・ワトソン (2006年): 全英シングルチャートで69位を記録
Dream Ami|Dream_Ami (2015年): エレクトロアレンジで日本語カバー
ヘイリー・ラインハート (2015年): CMソングとして使用され、アメリカのチャートで好成績を記録
キナ・グラニス (2018年): 映画『クレイジー・リッチ!』のサウンドトラックとして使用
* ケイシー・マスグレイヴス (2022年): 映画『エルヴィス』のサウンドトラックとして使用

このように、「好きにならずにいられない」は、時代を超えて愛される不朽の名曲として、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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