トヨタ・オーリオン XV40

XV40型オーリオン：トヨタが豪州市場に投入したセダン

XV40型オーリオンは、トヨタ自動車が2006年からオーストラリアおよび一部アジア地域で販売していたセダン型の乗用車です。この車は、XV40型カムリをベースとして開発されました。

概要

オーリオンは2006年のメルボルンモーターショーで発表されました。オーストララシアおよび中東地域では、アバロンの後継車としてカムリと並行して販売されました。一方、中国や東南アジア（香港・マカオ・シンガポールを除く）では、「カムリ」として販売されていました。オーストララシアと中東市場向けには、3.5リットルV型6気筒エンジンのみが搭載され、直列4気筒エンジンのみを搭載するカムリとの差別化が図られました。

オーストラリア国外では、中国の広州豊田でカムリとして現地生産されていたほか、台湾、タイ、ベトナムでも生産が行われていました。2012年4月には、ベースとなるカムリのフルモデルチェンジに伴い、2代目となるXV50型オーリオンへと進化しました。

開発の背景

オーリオンが登場する以前、オーストラリアではMCX10型アバロンが製造されていましたが、競合車種との競争に苦戦していました。そこでトヨタは、オーストラリアの顧客ニーズに合わせた新しいモデルの開発を決定しました。

2002年、アバロンの後継車開発が本格的にスタート。豪州トヨタは、当時日本や北米で開発されていたモデルが豪州市場に適していないと判断。サイズ規制により完全オリジナルのモデル開発が難しかったため、既存のカムリをベースに独自モデルを開発することになりました。社内にデザイナーがいなかったため、ポール・ベランジャー氏を採用し、トヨタ・スタイル・オーストラリア (TSA) を設立しました。

TSAはまずコンセプトモデルをデザインし、その後、ニック・ホジオス氏をチーフデザイナーに迎え、XV30型カムリをベースにした独自モデル「380L」を設計しました。このモデルは、外装パネルや内装部品をTSA独自のものに交換したもので、フォーカスグループでの評価も高く、カムリとは異なる車種として販売できると判断されました。

デザイン

TSAは市販車両の開発経験がなかったため、トヨタ本部に開発能力をアピールする必要がありました。380Lの開発期間中、トヨタ本部と定期的に議論を重ね、デザインコンペにも参加しました。ホジオス氏の案は採用されなかったものの、アジア仕様カムリの上位車種となる「043L」の開発を命じられました。最終的なデザインは、日本人および台湾人のデザイナーと共同で行われましたが、車両前部のデザインはホジオス氏が主導しました。

豪州トヨタは、豪州仕様オーリオンとアジア仕様カムリの設計を並行して行いました。両者は基本的に同じでしたが、オーリオンは商用車としても販売され、スポーツモデルも用意されるため、別のコードネームが与えられました。

トヨタは30以上の車名候補の中から、消費者調査を経て古代ギリシア語で「明日」を意味する「オーリオン」を選びました。この車名は、全く新しい車を表現し、"Can't wait for tomorrow"というキャッチコピーと結び付けられました。

外装部品はカムリと共通する部分もありますが、その他はオーリオン独自のデザインが採用されています。内装はカムリと共通のデザインをベースに、ダッシュボードや足踏み式パーキングブレーキのデザインが変更されました。これにより、開発コストを抑えつつ、カムリと同じラインでの生産を可能にしました。

各市場での展開

オーリオンは、オーストラリア市場においては、フォード・ファルコンやホールデン・コモドアといった車種と競合しました。また、TRDモデルは、スバル・リバティGTやマツダ・6 MPSといったスポーツモデルと競合しました。

オーストラリア以外では、中国、台湾、東南アジアの一部地域でカムリとして製造・販売されました。これらの地域では、豪州仕様車とは異なるフロントグリルやグレード構成が採用されました。タイ市場では、オーリオンをベースとしたカムリハイブリッドも販売されました。

フェイスリフト

2009年6月には、東アジアおよび東南アジア向けのカムリのマイナーチェンジモデルが発表され、ハイブリッド仕様も新たにラインアップされました。このマイナーチェンジでは、前後ランプやフロントバンパー、フロントグリルのデザインが変更されました。同年9月には、豪州トヨタもオーリオンに同様のマイナーチェンジを施しました。

パワートレイン

オーリオンには、2GR-FE型V型6気筒自然吸気エンジンが搭載されました。このエンジンは、最高出力272PS、最大トルク34.3kgf·mを発揮し、6速ATと組み合わされました。TRDモデルには、スーパーチャージャー付きのエンジンが搭載され、最高出力328PS、最大トルク40.8kgf·mを発揮しました。

アジア市場向けには、2.0リットルおよび2.4リットルの直列4気筒エンジンも用意されました。また、一部市場には、2.0リットル3ZR-FE型エンジン搭載モデルも投入されました。

TRDオーリオン

TRD（Toyota Racing Development）は、トヨタのモータースポーツ部門であり、オーリオンをベースとした高性能モデルを開発しました。TRDオーリオンは、専用のエクステリアデザインやスーパーチャージャー付きエンジン、専用サスペンションなどを装備し、高い走行性能を実現しました。しかし、販売は振るわず、2009年に生産が中止されました。

まとめ

XV40型オーリオンは、トヨタがオーストラリア市場向けに開発したセダンであり、カムリをベースにしながらも、独自のV6エンジンや内外装デザインを採用することで、差別化を図りました。各市場での販売やTRDモデルの展開など、様々な試みが行われましたが、2012年にフルモデルチェンジを迎え、その役割を終えました。

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