トヨタ・グランエース

トヨタ グランエース：上質を極めたフルサイズワゴンの軌跡

トヨタ グランエースは、2019年から2024年まで生産・販売されていたミニバン型の乗用車です。海外向けハイエースをベースとした、トヨタのラインナップの中でも最大級のボディサイズを誇る、高級ワゴンとして登場しました。

概要

グランエースは、その名の通り、スペイン語で「偉大な」を意味する「GRAN」と、英語で「第一人者」を意味する「ACE」を組み合わせた造語です。その名の通り、従来のミニバンの枠を超えた、上質で広々とした室内空間と、存在感のあるスタイリングが特徴です。

海外では、「グランビア」や「マジェスティ」という名前で販売されており、グローバル市場でも展開されていました。生産はトヨタ車体のいなべ工場で行われ、国内ではトヨタの全販売店で取り扱われました。

ボディサイズは全長5.3m、全幅1.97m、全高1.99mと、アルファード/ヴェルファイアよりもさらに大きく、存在感のあるスタイリングが特徴です。3列または4列シートで、6名以上の乗車定員を確保しており、広々とした室内空間を実現しています。

機構・メカニズム

エンジンには、2.8Lのクリーンディーゼルエンジンである1GD-FTV型が搭載され、6ATと組み合わされます。DPRや尿素SCRシステムを採用することで、窒素酸化物の排出量を大幅に低減し、環境性能にも配慮しています。

車体の静粛性にも力が入れられており、エンジンルームと室内を隔てるダッシュパネルにサンドイッチ鋼板を使用したり、制振材や吸遮音材を適切に配置することで、様々な路面環境下でも快適な乗り心地を実現しています。

車両重量は3トンを超えるため、LTタイヤが使用され、ホイールハブのPCDも専用のものが採用されています。

装備

ディスプレイオーディオやDCMが標準装備されており、SmartDeviceLink、Apple CarPlay、Android Autoに対応しています。スマートフォンとの連携により、ナビゲーションや音楽再生などの機能が利用可能です。

安全装備も充実しており、プリクラッシュセーフティをはじめとする予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」や、パーキングサポートブレーキ、デジタルインナーミラーなどが標準装備されています。

歴史

2019年10月：東京モーターショー2019で初披露
2019年11月：正式発表、12月16日発売
2021年6月：一部改良。助手席に可倒式ヘッドレストとパワーシートスイッチを追加
2023年10月：一部改良。ディスプレイオーディオをコネクティッドナビ対応Plusに変更
2024年3月：生産終了を発表
2024年4月：販売終了

グレードは、「G」と「Premium」の2種類が用意されました。「G」は4列シート8人乗り、「Premium」は3列シート6人乗りで、シート素材や内装の質感に違いがあります。

インバウンド需要を見据えた高級ワゴン

グランエースは、その価格帯やパッケージングから、当初よりインバウンド需要を想定したモデルであると見られていました。ホテルの送迎用や、富裕層グループを対象とした少人数ツアーの移動手段など、特別なニーズに応えることを目指した一台と言えるでしょう。

惜しまれつつも生産終了となりましたが、グランエースは、トヨタの新たな挑戦を象徴するモデルとして、その名を記憶されることでしょう。

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