トヨタ・サイノス

トヨタ・サイノス（CYNOS）：時代を彩ったクーペ

トヨタ・サイノスは、1990年代にトヨタ自動車が生産・販売していた、スタイリッシュなクーペ型の小型自動車です。海外市場では「パセオ（PASEO）」という名前で販売されていました。

初代 EL40型（1991年 - 1995年）

初代サイノスは、ターセル/コルサをベースにした2ドアクーペとして、1991年1月に登場しました。北米市場におけるセクレタリーカー（女性秘書をターゲットにした車）およびサブコンパクトカー市場を意識したモデルであり、ターセルクーペの後継車種という位置づけでした。

1991年1月： 発売。CMキャラクターには萩原聖人さんが起用され、「友達以上恋人未満。」というキャッチコピーが印象的でした。グレードは「α（アルファ）」と「β（ベータ）」の2種類。
α：5E-FE型（105PS）エンジン搭載
β：5E-FHE型（115PS）DOHCエンジン搭載。4輪ディスクブレーキ、電子制御サスペンションTEMSがオプション選択可能
販売チャネル： トヨペット店（大阪地区は大阪トヨタ）とカローラ店。
1992年12月： マイナーチェンジを実施。
1994年： ベースとなったターセル/コルサ/カローラIIがフルモデルチェンジする中、サイノスは初代モデルのまま継続生産。カローラ店での取り扱いを終了し、新たにトヨタビスタ店での取り扱いを開始。製造は高岡工場。
1995年8月： 生産を終了し、在庫対応分のみの販売に。
1995年9月： 2代目モデルと入れ替わる形で販売を終了。

2代目 EL50型（1995年 - 1999年）

2代目サイノスは、1995年9月にフルモデルチェンジを受けました。CMには当時大人気だったglobeが起用され話題となりました。

グレード構成： 初代同様に「α（アルファ）」と「β（ベータ）」の2グレード。
α：4E-FE型1.3L DOHCエンジン搭載
β：5E-FHE型1.5L DOHCエンジン搭載
初代とは異なり、エンジン排気量によってグレードが分けられました。
トランスミッション： 姉妹車のターセル/コルサ/カローラII/スターレットと同様、1.3L車（α）には4速MT/3速AT、1.5L車（β）には5速MT/4速ATが設定されました。
α juno（ジュノ）パッケージ： 1.3L車（α）にβと同等の装備を施した中間グレードも設定。
タコメーター： αの基本仕様を除き、7,000回転スケールのタコメーターが標準装備。
販売チャネル： 初代末期と同様、トヨペット店（大阪はトヨタ店）とトヨタビスタ店。
1996年8月： コンバーチブルモデルを追加設定。同時に、イエローのボディカラーを採用した特別仕様車が150台限定で発売されました。コンバーチブルモデルは、クーペボディ骨格部に追加補強を施した上で、アメリカのASC社でルーフやクォーターピラーのカット、その他艤装を行い、日本へ送り返して納車前検査をするという工程を経ていました。クーペ仕様と同様に1.3Lと1.5Lの2グレード設定。コンバーチブル追加時に、クーペ版は一部仕様変更され、ABS・デュアルエアバッグが標準装備となりました。
1997年12月： マイナーチェンジを実施。ヘッドライトがマルチリフレクターとなり、衝突安全ボディGOAを標準装備。1.3L車のMTが4速から5速へ多段化されました。
1999年7月： オーダーストップに伴い生産終了。在庫対応分のみの販売に。
1999年12月： 販売終了。

車名の由来

車名の「サイノス（CYNOS）」は、英語で「目標」「注目の的」などを意味する「cynosure」からの造語です。「cynosure」には「北極星」という意味もあり、「スターレット」にもかけたネーミングとなっています。輸出仕様の「PASEO」は、スペイン語で「散歩に行く」という意味です。

サイノスは、そのスタイリッシュなデザインと手頃な価格帯で、若者を中心に人気を集めたモデルでした。現在では中古車市場での流通が中心となっていますが、その個性的なスタイルは今もなお多くのファンを魅了し続けています。

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