トヨタ・マークX

トヨタ・マークX：高級スポーツセダンの歴史

概要

トヨタ・マークXは、同社が2004年から2020年まで製造・販売していた4ドア高級スポーツセダンです。ミドルサイズセダンとして人気を博した「マークII」の後継車種として登場し、大胆なデザインと先進技術で注目を集めました。マークII時代からの伝統を継承しつつも、新たな高級セダン像を提示した革新的なモデルと言えるでしょう。

初代モデル（X120系：2004年 - 2009年）

初代マークXは、スポーティな走りへの回帰をテーマに開発されました。特徴的な3連プロジェクターヘッドライトや、リヤバンパーと一体化したディフューザー構造は、後のトヨタ高級セダンのデザインにも大きな影響を与えました。プラットフォームは12代目クラウンと共通で、軽量化による運動性能の向上も実現しました。エンジンは、直列6気筒からV型6気筒へと変更され、2.5Lと3.0Lの2種類の直噴エンジンが用意されました。トランスミッションは、マニュアルモード付きの6速ATでした。


初代モデルの開発と販売戦略

トヨタは、初代マークXの発売にあたり、従来とは異なる戦略を取りました。正式な発表に先駆けて、テレビCMなどでヘッドライトの一部を露出させるなど、消費者の興味関心を高める「ティザー広告」を展開しました。この戦略は、発売前から大きな話題を呼び、販売に大きく貢献しました。また、中国市場への進出も早期に開始しており、グローバル展開への意欲も伺えました。

初代モデルの主要グレードと改良

初代マークXは、2.5Lと3.0Lのエンジンを搭載した複数のグレードが設定されました。「S Package」と呼ばれるスポーツグレードには、専用サスペンションや大径ブレーキなど、スポーティな走りを楽しむための装備が充実していました。発売後も、快適装備を充実させた特別仕様車などが順次発売されました。2006年にはマイナーチェンジを行い、エクステリアデザインやインテリアの質感、安全装備などを改良しました。


2代目モデル（X130系：2009年 - 2020年）

2009年、初代モデルの後継として2代目マークXが登場しました。「Glam Tech」をキーワードに、初代のデザインをさらに洗練させたアグレッシブなスタイリングが特徴でした。3連ヘッドライトは継承しつつも、より洗練されたデザインとなりました。エンジンは、3.0Lエンジンが3.5Lへと排気量が拡大し、パワーアップしました。2.5Lエンジンはレギュラーガソリン仕様に変更され、燃費性能が向上しました。トランスミッションは全車6速ATでしたが、限定車の「GRMN」には6速MTが設定されました。安全装備も充実し、7個のエアバッグや各種安全システムが標準装備されました。


2代目モデルのグレード体系と特別仕様車

2代目マークXは、「Premium type」、「Sports type」、「Standard type」の3つのタイプに大別され、ユーザーの好みに合わせたグレード展開が図られました。それぞれに、独自の装備やデザインが与えられていました。「G's」や「GR SPORT」といった、走りを重視した特別仕様車も設定され、高い人気を得ました。「GRMN」は、6速MTを搭載した限定モデルで、スポーツ志向の高いユーザーに受け入れられました。


2代目モデルの改良と販売終了

2012年と2016年にはマイナーチェンジを実施し、エクステリアデザイン、インテリア、安全装備などが改良されました。2016年のマイナーチェンジでは、「Toyota Safety Sense P」といった先進運転支援システムが全車標準装備となりました。2020年に生産が終了し、販売は在庫限りの対応となりました。事実上の後継車種として、カムリが挙げられます。


モータースポーツ

マークXは、スーパー耐久やD1グランプリといったモータースポーツにも参戦しました。特に、埼玉トヨペット Green Braveによるスーパー耐久参戦は、トヨペット店にとって重要な活動でした。


販売店

マークXは、主にトヨペット店で販売されました。ただし、「GRMN」の一部モデルは、「GR Garage」で販売されました。


まとめ

マークXは、スポーティな走り、上質な内外装、そして先進技術を融合した高級スポーツセダンとして、高い人気を誇りました。50年以上にわたるマークII/マークXの歴史に幕を閉じましたが、その存在感は、多くのファンに記憶されることでしょう。

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