トヨタ・ランドクルーザー J70

ランドクルーザー70：不朽のオフロード性能と耐久性を誇るトヨタのヘビーデューティーモデル

ランドクルーザー70（Land Cruiser "70"）は、トヨタ自動車が1984年から製造・販売しているクロスカントリー車です。ランドクルーザーシリーズの中でも、特にヘビーデューティー用途に特化したモデルとして、世界中の過酷な環境下で活躍しています。

概要

日本では長らく商用車として扱われていましたが、オーストラリアでは鉱業、農業、人命救助など幅広い分野で活用されており、愛好家によるクラブ活動も盛んです。また、国際連合やNGOなどの平和維持活動用車両としても、ジブラルタルトヨタを通じて様々な仕様のものが販売されています。

70系は、幾度かのスタイリング変更や技術的なアップデートを経ても、40系から受け継がれたオフロード性能と耐久性を維持するように設計されています。「道が人を鍛える」「壊れるまで走り込む」という開発思想のもと、常に高いオフロード性能と耐久性を実現し、国内外で高い評価を得ています。また、整備性の高さも特徴で、スペアパーツは40～60～70系の間で多くが流用可能です。

名称は、型式番号が「J70型・70系」であることから、2014年以降のトヨタ公式では「ランドクルーザー"70"」と呼称されており、愛称としても定着しています。

日本では販売期間やメカニズムの違いなどから、3世代に分けて扱われることが多いですが、市場によっては生産が絶え間なく続いていました。

型式指定

70から74までの型番は、2ドアのショートホイールベースとミディアムホイールベースを指し、40系の後継車種です。75、78、79はロングホイールベース版で、ピックアップと2ドアトゥループキャリアモデルがあります。77（1990年 - 1999年モデル）と76は、一部市場でセミロングホイールベースの4ドアワゴンです。

1999年の改良で、ロングホイールベースモデルは78（トゥループキャリア）と79（ピックアップ）になりました。2007年には76（4ドアワゴン）が追加され、新しいデュアルキャブモデルも79モデルのモデル番号を共有しています。ショートホイールベースモデルは現在、一部市場向けにのみ生産されています。

モデル番号の先頭の文字は車両のエンジンを示し、70系ランドクルーザーのほとんどに直列6気筒や直列4気筒エンジンが採用されています。例外として、1999年導入の直列5気筒1PZディーゼルエンジン、2007年導入のV型8気筒1VD-FTVディーゼルエンジン、2009年導入のV型6気筒1GR-FEガソリンエンジンがあります。

エンジンに関係なく、5速マニュアルトランスミッション、4速/6速オートマチックトランスミッションがハイ＆ローレンジのパートタイム四輪駆動トランスファーケースにパワーを供給します。

特徴

70系ランドクルーザーは、側方に2ドアまたは4ドアのボディを持ち、グリルはメッシュまたは3本の水平バーで構成されます。フロントウインカーは正方形で、その下に三角形の白いレンズ・エレメントがあります。トップはハードまたはソフトで、ドアはハードタイプで窓はロールアップ式です。テールランプは縦に長い長方形で、リアドアは対になったスイングアウト式の「観音開きドア」です。

70系は「バン」と「ワゴン」に大別されます。40系の強みを継承しつつ、外観と居住空間を当時のトレンドに合わせながら、最新技術を結集して開発されました。

発売当初の70系はすべてリーフスプリングの固定式リジットアクスルを採用していましたが、1999年にリーディングアーム付きコイルスプリング式フロントサスペンションを採用し、フロントリジットアクスルをわずかに軽量化しました。また、1999年からはフロントにオーバーハングが無いコイルスプリングを採用し、リアのリーフスプリングが延長され、ホイールトラベルが拡大した結果、乗り心地が向上しました。

「トゥループキャリア」とは英語で「兵員輸送車」を意味し、ドライバーに加えて6人以上の乗客が座れる四輪駆動のオフロード車を指します。

固定式フロントアクスルは、マニュアルロックハブを備えたフルフローティングデザインです。一部の市場では、デフロック（フロントおよびリア）が選択可能なメーカーオプションとなっています。

70系には、エアコンやラジオなどの基本的な快適装備はありますが、高価なステーションワゴン系のような豪華装備は多くありません。キーに関しても整備性を考慮して、2023年に発売されたモデルでもアナログキーのままです。

年表

第1世代 (1984年-2004年)

1984年11月2日に40系の後継としてデビュー。当初はミドルのFRPトップとショートのバンタイプがLXとSTD、ショートの幌タイプがSTDのみでした。1990年4月にはミドルボディに代わる形で4ドアのセミロングボディが登場。1990年4月13日にはワゴンタイプが「プラド」として新発売されました。

第2世代 (2007年-)

2007年3月、オーストラリアを皮切りにフロント周りの意匠を大幅変更した新型がデビュー。WAGONが新たに設定され、4ドア・セミロングホイールベースが再びカタログモデルとなりました。2014年には日本で1年間の限定再販が行われました。

発売30周年記念復活モデル (2014年)

2014年8月25日に70シリーズの発売30周年を記念して2015年6月30日生産分までの期間限定で約10年ぶりに復活。ボディタイプはバン（GRJ76K型）とダブルキャブ仕様のピックアップ（GRJ79K型）の2種類を設定。エンジンは日本国内向けでは初採用となるV6・4.0 Lの1GR-FE型を搭載しました。

第3世代 (2023年-)

2023年8月2日に250系の世界初公開とともに、同年冬に70系を約8年ぶりに日本へ再導入されることが発表されました。エンジンは2.8 L ターボ仕様の1GD-FTV型を搭載し、トランスミッションはヘビー系モデルでは初となる6速ATへ変更されました。

その他の用途

消防車仕様

ランドクルーザーは耐久性と悪路走破性が優れており、価格も抑えられることから、消防車としても活躍しています。主に消防指揮車やポンプ車としての用途が多く、山間部での配備も多く見られました。

アル・タラブ

ヨルダンのアブドラ国王設計開発局（KADDB）と共同で、ランドクルーザー79をベースとした長距離哨戒車（LRPV）「アル・タラブ」が開発されました。パトロール任務、国内安全保障、偵察、国境警備隊向けに設計され、2005年から生産が開始されました。

ランドクルーザー70は、その卓越した耐久性と悪路走破性により、世界中の様々な場所で人々の生活と仕事を支え続けています。

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