トヨタ・89C-V

トヨタ・89C-Vの概要

トヨタ・89C-Vは、1989年にトヨタ自動車によって開発されたグループCカーです。この年、トヨタは全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権（JSPC）、世界スポーツプロトタイプカー選手権（WSPC）、およびル・マン24時間レースに初めてフル参戦しました。

89C-Vは、前年の88C-Vから改良を受けたモデルで、特に実戦を意識したシンプルな外観が特徴です。88C-Vには遊びの要素も見受けられましたが、89C-Vはその点を抑え、より競技志向のデザインとなっています。トヨタチームトムス（TTT）とサードから合計3台がJSPCに出場し、WSPC開幕戦やル・マン24時間レースでも参戦しました。

デビュー戦と初期の成績

89C-Vのデビュー戦は、JSPC開幕戦の富士500kmでした。このレースでは、コースレコードを2秒も上回る驚異的なタイムを記録し、ポールポジションを獲得しました。その後のWSPC開幕戦である鈴鹿でも、ザウバー-メルセデスを抑えてフロントロウを獲得しましたが、決勝では6位に終わりました。

ル・マン24時間レースでは、ジェフ・リースが予選で前年のポルシェのタイムを上回ってコースレコードを樹立しましたが、その後の逆転や、Tカーでのタイムであるため無効とされるなど、波乱の展開となりました。決勝レースでは早々にリタイヤとなり、期待外れの結果に終わっています。

後半戦と戦績

WSPC後半戦の欧州ラウンドでは、マシンのセッティングがコースになかなかマッチせず、ダウンフォース重視の調整がかえって燃費の低下を招くという悪循環に陥りました。そのため、完走すら叶わず、入賞は一度もありませんでした。

一方、JSPCの後半戦では健闘を見せ、インターチャレンジ富士1000kmでは初優勝を果たしました。この勝利は、ドライバーの小河等とパオロ・バリッラの組みによって達成され、同時にポイントランキングでも首位に立つことになります。しかし、その後、悪天候のために延期された鈴鹿1000kmでは、レース前の事故によってマシンを交換する事態となり、得点対象外で出走したためノーポイントとなり、結局日本国内でのチャンピオン獲得は幻に終わってしまいました。

1990年以降

1990年シーズンには、新型90C-Vがまだ熟成されていなかったため、89C-Vが引き続き出走しました。最終戦の富士1000kmでは、89C-Vが再度優勝を果たし、サードにとって初めての優勝となりました。

このようにトヨタ・89C-Vは、複雑な運命を辿りながらも、日本のモータースポーツにおいて重要な役割を果たしました。グループCカーのひとつとして、トヨタ自動車のモータースポーツの歴史を築く一助となりました。

関連項目

• - トヨタ自動車のモータースポーツ
• - プロトタイプレーシングカー
• - グループC
• - グループCカーの一覧

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