トヨタ・91C-V

トヨタ・91C-Vについて

トヨタ・91C-Vは、1991年に全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権（JSPC）に参戦するために開発されたグループCカーです。この車両は前年のモデルである90C-Vの進化形ですが、ル・マン24時間レースには出場せず、主にJSPCに特化した仕様となっています。93年モデルのエンジンを搭載し、カーボン製モノコックと組み合わせたこのマシンは、非常に高い性能を誇っています。

概要

91C-Vは、90C-Vと同じくR36V型の3.6リットルV型8気筒ツインターボエンジンを搭載しており、優れたパフォーマンスを引き出しています。チーム編成は前年と変わらず、トムスとサードが参加。この年、サードはタイヤ供給をダンロップからブリヂストンに変更しました。トムスからは36号車と37号車、サードからは38号車がエントリーしました。

戦績

91C-Vは第2戦の富士1000kmでデビューを果たしますが、フロントカウルのダウンフォースが不足していることが判明し、90C-Vと同じカウルを使用せざるをえませんでした。このレースでは、ニッサンのR91CPが1-2フィニッシュを果たし、トムスの36号車が3位に入る結果になりました。

レース後、トヨタは91C-Vの大幅な改良に着手。ラジエーターの配置を変更し、マシンバランスの向上や冷却効率の改善を図ります。この結果、第3戦の富士500マイルではサードがポールポジションを奪い、トムスの36号車が見事に優勝を果たしました。

その後もトヨタは改良を続け、第4戦の鈴鹿1000kmではサードが優勝し、連勝を重ねます。続く第5戦でもトムスの37号車が優勝し、コンストラクターズポイントでもニッサンに迫る展開に。ドライバーズポイントでもトムスのドライバーが順位を上げ、タイトル争いが過熱しました。

しかし、第6戦の富士1000kmではニッサンに敗れ、コンストラクターズタイトルの獲得が危ぶまれる事態に。最終戦の菅生500マイルでは、トヨタは優勝すればタイトルを獲得できる状況でしたが、急遽参加したTWRジャガー・XJR-14に圧倒され、トムスの36号車は2位、ニッサン23号車は3位に終わり、最終的にニッサンがコンストラクターズタイトルを獲得しました。ドライバーズタイトルも逃す結果になり、91C-Vの性能が認められながらも悔しい結果となりました。

シーズン総括

91C-Vは第3戦以降の5レースで4回もニッサンを上回るパフォーマンスを見せ、間違いなく1991年シーズンで最高のマシンとされています。しかし、タイトル争いでは悔いの残る結果となり、佐藤正幸は「エンジンで勝っていたがシャシーで生かせなかった」とシーズンを振り返りました。

その後、92C-Vなどの新型が登場しましたが、91C-Vの影響が色濃く残っており、グループCカーの進化は続いています。91C-Vはトヨタの競技用車両開発において重要な位置を占めるマシンとなりました。

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