トヨタ・WiLL サイファ

WiLL サイファ：時代を先取りした個性派ハッチバック

WiLL サイファは、トヨタ[[自動車]]が2002年10月から2005年8月まで販売していたハッチバック型の乗用車です。異業種合同プロジェクト「WiLL」ブランドの第3弾として登場し、初代ヴィッツをベースに、他に類を見ないユニークなコンセプトとデザインで注目を集めました。

デザインとコンセプト

WiLL サイファのデザインコンセプトは「ディスプレイ一体型ヘルメット」。近未来的なエクステリアは、従来の自動車デザインの常識を覆すものでした。ネットワーク社会とクルマの融合をテーマとした「サイバーカプセル」というコンセプトも、当時の時代背景を反映したものでした。

メカニズム

プラットフォームは初代ヴィッツと共通で、エンジンは1.3Lと1.5Lの直列4気筒エンジンを搭載。駆動方式はFFと4WDが用意され、トランスミッションは4速ATのみの設定でした。トヨタ初の車載情報通信サービス「G-BOOK」に対応し、専用のカーナビゲーションシステムが標準装備されていました。これは、トヨタのコンパクトカーとしては初の2DIN＋2DINオーディオ別体ナビゲーションでもありました。

販売戦略

WiLL サイファは、従来の自動車販売とは異なる、斬新なカーリースプラン「P-way」を用意していました。これは、携帯電話のように基本料金と走行距離に応じた従量制料金を月額リース料金として請求するというもので、G-BOOK端末から送信される走行距離情報で計算されました。当初は販売台数の5%程度の契約を見込んでいましたが、実際には17%と大きく上回りました。しかし、利用客の走行距離が想定よりも短かったため、採算割れとなり、2003年7月で取り扱いが終了しました。

販売終了

2004年4月のビスタ店統合、同年6月のカローラ店へのパッソ投入、そして2005年2月のヴィッツのフルモデルチェンジなど、市場環境の変化を受け、WiLLプロジェクト終了とともに、WiLL サイファは2代目ヴィッツに統合される形で2005年7月に生産を終え、同年8月に販売終了となりました。

車名の由来

車名の「CYPHA」は、「CYBER（サイバー）」と「PHAETON（フュートン／馬車）」を組み合わせた造語です。

その他

WiLL サイファは、角川書店との共同制作による「ウェブ専用インタラクティブショートシネマ」に劇用車として使用されたり、松下電器産業（現パナソニック）のSDカード対応マルチカメラ「D-snap」とのクロスプロモーションが展開されたりするなど、様々な話題を提供しました。

ファミリーマートと提携し、3時間1,000円で借りることができる「コンビニレンタカー」が一部地域で開始されたり、博多大丸が創業50周年記念としてカスタム車「D-Mode」を100台限定で発売するなど、ユニークな企画も実施されました。

WiLL サイファは、短命に終わったものの、その革新的なデザインとコンセプトは、自動車業界に大きなインパクトを与えました。現代のコネクテッドカーの先駆けとも言えるG-BOOKの搭載や、新しい販売方式への挑戦など、その先進性は高く評価されるべきでしょう。

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