トライアンフ・スピットファイア

トライアンフ・スピットファイアについて

トライアンフ・スピットファイア（Triumph Spitfire）は、イギリスの自動車メーカー、トライアンフが1962年から1980年の間に生産していた小型2シーターのオープンスポーツカーです。このモデルは、オースチン・ヒーレー・スプライトやMG・ミジェットと共に、英国製の小型軽量スポーツカーの代表格として広く知られています。その名は、第二次世界大戦時のイギリス空軍の戦闘機に由来しています。

歴史的背景

スピットファイアの誕生は、トライアンフが小型大衆車「ヘラルド」（1959年デビュー）をベースにしている点に特徴があります。ヘラルドは当時の古いセパレート式シャシーを用いており、そのシャシーを短縮してスポーツカー向けの設計にするのは比較的容易でした。また、ヘラルドは進歩的なスイングアクスル式のリアサスペンションを採用しており、これが操縦性において他の競合車両に対してアドバンテージとなりました。

ボディのデザインは、イタリア人デザイナーのジョヴァンニ・ミケロッティによるもので、抑揚のあるフェンダーラインが魅力的です。スプライトよりも優れた居住性があり、巻き上げ式のサイドウインドウを初めから装備していました。また、整備性の良いボンネットは、ジャガー・Eタイプを彷彿とさせます。

1960年には開発が完了したものの、トライアンフ社の経営状況から発売は1962年にずれ込みました。レイランド・モータースとの合併後、片隅にあったプロトタイプが発見され、ようやく生産化の承認が得られたと伝えられています。

モデルの進化

スピットファイア4（Mk I）

最初のモデルであるスピットファイア4（1962-1965年）は、直列4気筒1147ccエンジンを搭載し、必要最低限の装備に留まっていました。1964年モデルからはオプションとして機械式オーバードライブやハードトップの選択が可能になり、生産台数は45,753台に達しました。

Mk II（1965-1967年）

次に登場したMkIIでは、エンジン出力を67馬力まで引き上げ、内装もカーペット敷きに改善されました。市場価格550UKポンドで、さらに37,409台が生産されました。

Mk III（1967-1970年）

MkIIIでは、アメリカ市場向けにバンパー位置が高く改良され、エンジンが1296ccに拡大されました。このモデルは最速のスピットファイアとして評価され、65,320台が生産されました。

Mk IV（1970-1974年）

1970年に登場したMk IVは、デザインを更新し、エンジンも1296ccながらも性能が低下しましたが、サスペンションが改良され安定性が向上しました。この時期に70,021台が生産されました。

1500（1974-1981年）

スピットファイアの最終型となる1500は、1973年に登場し、エンジンは1500ccに拡大されましたが、耐久性に課題がありました。生産台数は95,829台に及び、1980年に最後のスピットファイアがラインオフされています。

日本市場における評価

日本でも多くのスピットファイアが輸入され、特に阿部モータースなどのディーラーを通じて販売されました。中古車も多く流入し、多くのファンを獲得しました。スピットファイアは、そのコンパクトでスポーティなスタイルと走行性能により、今なお多くの人々に愛されています。

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