トラム (ローマ)

ローマのトラム、正式にはイタリア語で「Rete tranviaria di Roma」と呼ばれるこの路面電車は、ローマ市内を運行する公共交通機関の一つです。運営はローマの公共交通企業であるATACが行っています。

かつてはイタリア国内で最大の路線網を誇っていましたが、時代とともに廃止が進み、その地位を他の交通機関に譲る形となっています。しかし、現在でもローマ市民の足として、重要な役割を果たしています。

路線

現在のローマのトラムは、以下の6路線が運行されています。

2系統：フラミーニオ広場 - Piazza Mancini
3系統：Piazza Thorvaldsen - ローマ・トラステヴェレ駅
5系統：ローマ・テルミニ駅 - Piazza dei Gerani
8系統：ヴェネツィア広場 - Via del Casaletto
14系統：ローマ・テルミニ駅 - V.le Palmiro Togliatti
19系統：Piazza Risorgimento - Piazza dei Gerani

これらの路線のうち、特に重要な結節点となっているのがマッジョーレ門です。ATACが運営する6路線のうち、4路線がこのマッジョーレ門を通過します。また、都市鉄道であるローマ＝ジャルディネッティ線も一部併用軌道区間としてマッジョーレ門を通過しており、このエリアがトラム網の中心となっていることが伺えます。

歴史

ローマにおける公共交通機関の歴史は、1845年に教皇グレゴリウス16世が、巡礼者のためにヴェネツィア広場からサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂を結ぶ乗合馬車の運行を認可したことに始まります。この馬車は頻繁に満員となり、時刻表通りの運行は難しかったようです。

その後、1877年にはフラミニーオ広場からミルヴィオ橋の間で馬車鉄道が開業しました。この路線は現在の2系統とほぼ同じルートを辿っています。1895年には、テルミニ駅からサン・シルベストロ広場の間で初めて電化が行われ、トラムが登場しました。1904年までには、全ての馬車鉄道の路線が電化されています。最後に電化されたのはミルヴィオ橋へ向かう路線でした。

1905年の時点で、17路線で144両の電車が運行されていました。1929年末には路線網が最大となり、59系統（同一路線に複数の系統が乗り入れる場合あり）で総延長は140kmに達しました。

しかし、1930年には運行系統の整理が行われ、内周・外周の2つの環状路線と、それらを結ぶ路線に集約されました。これに伴い、多くの車両が廃車となりました。第二次世界大戦後、運行主体がATACとなると、路線網の縮小がさらに進み、1959年には内周の環状路線が廃止されています。

車両

現在運行している車両は、様々なタイプが存在しています。しかし、老朽化が進んでいることもあり、新型車両の導入が進められています。

導入予定の車両

2023年、ATACはスペインの鉄道車両メーカーであるCAFとの間で、超低床電車「ウルボス（Urbos）」の導入契約を締結しました。これは老朽化が進んだ7000形を置き換えるとともに、今後の路線網の拡張を見据えたものです。

当初は40両が発注されましたが、2024年にはオプションを行使して20両が追加発注されています。この新型車両は、両運転台式の5車体連接車で、そのうち20両は非電化区間（架線レス区間）でも走行可能な充電システム（OESS）を搭載しています。

路線図

（ここに路線図の画像が表示される想定）

関連項目

ポルタ・サン・パオロ鉄道博物館

脚注

注釈
出典

外部リンク

ATAC

ローマのトラムは、その長い歴史の中で、ローマ市民の生活に深く根付いてきました。現在では路線網の縮小が進んでいますが、依然としてローマの公共交通の一翼を担っており、今後の発展が期待されています。

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