ヴィスコンティ家

ヴィスコンティ家：ミラノを彩った貴族の興亡

ヴィスコンティ家は、中世イタリアにおいて重要な役割を果たした貴族の家系です。13世紀にはローマ教皇グレゴリウス10世を輩出し、その勢力を拡大しました。特にミラノにおいては、都市国家の支配権を確立し、後のミラノ公国の礎を築きました。1395年には、ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティが神聖ローマ皇帝からミラノ公の称号を授与され、ヴィスコンティ家は絶頂期を迎えます。しかし、15世紀にこの家系は途絶え、ミラノの支配権はスフォルツァ家に移行しました。

ヴィスコンティ家の主な人物

ヴィスコンティ家からは、多くの重要な人物が輩出されました。以下にその一部を紹介します。

テオバルド・ヴィスコンティ（グレゴリウス10世）（1210年 - 1276年）：ローマ教皇。1271年から1276年まで教皇を務めました。
オットーネ・ヴィスコンティ（1213年 - 1295年）：1262年からミラノ大司教を務め、1277年にミラノのシニョーレ（領主）となりました。ミラノがローマ帝国から独立性を強めた時期に活躍しました。
マッテーオ1世・ヴィスコンティ（1250年 - 1322年）：オットーネの甥の息子。ミラノの僭主として、1287年から1302年、そして1311年から1322年まで統治しました。映画監督ルキノ・ヴィスコンティの遠祖にあたります。
ガレアッツォ1世・ヴィスコンティ（1277年 - 1328年）：マッテーオ1世の息子で、1322年から1327年までミラノの僭主を務めました。
アッツォーネ・ヴィスコンティ（1302年 - 1339年）：ガレアッツォ1世の息子。1329年から1339年までミラノの僭主でした。
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ（1290年頃 - 1354年）：ガレアッツォ1世の弟。1339年から1354年までミラノの僭主を務め、1342年からはミラノ大司教も兼任しました。
ルキーノ・ヴィスコンティ（1287年頃 - 1349年）：ガレアッツォ1世、ジョヴァンニ1世の弟。1339年から1349年までミラノの僭主でした。
マッテーオ2世・ヴィスコンティ（1319年頃 - 1355年）：ガレアッツォ1世とジョヴァンニ1世の弟ステーファノの息子。1354年から1355年までミラノの僭主でした。
ガレアッツォ2世・ヴィスコンティ（1321年 - 1378年）：マッテーオ2世の弟。1354年から1378年までミラノの僭主を務めました。
ベルナボ・ヴィスコンティ（1323年 - 1385年）：マッテーオ2世、ガレアッツォ2世の弟。1354年から1385年までミラノの僭主でした。
ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ（1351年 - 1402年）：ガレアッツォ2世の息子。1386年にミラノ大聖堂の建設を開始し、1395年には神聖ローマ皇帝ヴェンツェルからミラノ公の称号を得ました。ヴィスコンティ家の最盛期を築いた人物です。
ジョヴァンニ・マリーア・ヴィスコンティ（1388年 - 1412年）：ジャン・ガレアッツォの息子。1402年に母の摂政の下でミラノ公となりました。
フィリッポ・マリーア・ヴィスコンティ（1392年 - 1447年）：ジョヴァンニ・マリーアの弟で、1412年に兄が暗殺された後、ミラノ公となりました。
ビアンカ・マリーア・ヴィスコンティ（1425年 - 1468年）：フィリッポ・マリーアの庶出の娘であり唯一の子。父の死後、夫である傭兵隊長のフランチェスコ・スフォルツァがミラノ公となり、ヴィスコンティ家の支配は終わりました。
* ルキノ・ヴィスコンティ：20世紀の著名なイタリア映画監督。この一族の末裔にあたります。

ヴィスコンティ家の系譜と紋章

ヴィスコンティ家の家系図は複雑ですが、その紋章は蛇（ビショーネ）をモチーフにした特徴的なものです。この紋章は、現在でもイタリアの自動車メーカーであるアルファロメオのエンブレムに使われています。

ヴィスコンティ家と関連する文化

ヴィスコンティ家は、その歴史と影響力から、多くのフィクション作品にも登場しています。例えば、トマス・ハリスの小説に登場する架空の人物ハンニバル・レクターは、ヴィスコンティ家の血筋であるという設定です。

ヴィスコンティ家は、中世からルネサンス期にかけてのイタリアの歴史において、重要な役割を果たしました。その興亡は、ミラノの歴史と深く結びついており、多くの人々に興味を持たれています。

参考文献

GENEALOGIE DELLE DINASTIE ITALIANE (要登録)（イタリア語）

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