トリオ・ミュージック

アルバム『トリオ・ミュージック』の詳細

『トリオ・ミュージック』（Trio Music）は、アメリカの著名なジャズ・ピアニスト、チック・コリアによって1981年11月に録音され、1982年にECMレコードからリリースされたスタジオ・アルバムです。この作品は、コリアが1968年に発表したアルバム『ナウ・ヒー・シングス、ナウ・ヒー・ソブス』と同じく、ミロスラフ・ヴィトウス（ダブルベース）とロイ・ヘインズ（ドラムス）という素晴らしいミュージシャンと共にトリオ編成で制作されました。

録音の背景

本作の録音は、コリアとヘインズが1981年7月15日にモントルー・ジャズ・フェスティバルでパフォーマンスを行った後に行われました。その際、ジョー・ヘンダーソンとゲイリー・ピーコックも参加したカルテット形式での演奏があり、その記録は後に『ライヴ・アット・モントルー』としてアルバム化されました。また、同年9月19日には、クリエイティヴ・ミュージック・スタジオでのセッションが行われ、その際の演奏はダグラス・ミュージックから『Creative Music Studio - Woodstock Jazz Festival 1』、および『Creative Music Studio - Woodstock Jazz Festival 2』として発表されました。

この『トリオ・ミュージック』は、2枚組のLPとしてリリースされ、その内容は大きく二つに分かれています。ディスク1にはフリー・インプロヴィゼーションが収録され、ディスク2はセロニアス・モンクの楽曲を7曲特集しています。

反響と評価

アルバムはアメリカの『ビルボード』ジャズ・アルバム・チャートで17位まで上昇し、リスナーの間で高い評価を得ました。音楽評論家のスコット・ヤナウはオールミュージックで、ディスク1は「面白い瞬間もあるが全体的には軽い印象で、コリアが1960年代に作り上げたフリー・インプロヴィゼーションほどの自然さはない」と述べています。一方、ディスク2については「コリア自身の個性を損なうことなく、モンクの精神を真正面から表現している」とも評価しています。

さらに、ピーター・マーシュは2003年に「ヘインズがテーブルを叩く音にお金を払ってもいいと思うくらい、彼の演奏は実に特別で、全員の最高の演奏を引き出している」と称賛しています。これらの評価は、本作がいかに重要な作品であるかを物語っています。

収録曲

本アルバムの収録曲は以下の通りです。トリオ・インプロヴィゼーションズの楽曲は、特記のない限り、チック・コリア、ミロスラフ・ヴィトウス、ロイ・ヘインズの共作です。

トリオ・インプロヴィゼーションズ

• - トリオ・インプロヴィゼーション1 - "Trio Improvisation 1" - 3:26
• - トリオ・インプロヴィゼーション2 - "Trio Improvisation 2" - 3:50
• - トリオ・インプロヴィゼーション3 - "Trio Improvisation 3" - 3:08
• - デュエット・インプロヴィゼーション1 - "Duet Improvisation 1" - 4:26
• - デュエット・インプロヴィゼーション2 - "Duet Improvisation 2" - 5:25
• - トリオ・インプロヴィゼーション4 - "Trio Improvisation 4" - 4:40
• - トリオ・インプロヴィゼーション5 - "Trio Improvisation 5" - 7:42
• - スリッパリー・ホエン・ウェット - "Slippery When Wet" - 6:01

ザ・ミュージック・オブ・セロニアス・モンク

全曲ともセロニアス・モンクによる楽曲です。

• - リズム-ア-ニング - "Rhythm-A-Ning" - 5:06
• - ラウンド・ミッドナイト - "'Round Midnight" - 5:14
• - エロネル - "Eronel" - 4:37
• - シンク・オブ・ワン - "Think of One" - 4:27
• - リトル・ルーティ・トゥーティ - "Little Rootie Tootie" - 4:50
• - リフレクションズ - "Reflections" - 6:46
• - ハッケンサック - "Hackensack" - 6:13

参加ミュージシャン

• - チック・コリア - ピアノ
• - ミロスラフ・ヴィトウス - ダブルベース
• - ロイ・ヘインズ - ドラム

『トリオ・ミュージック』は、ジャズの重要なマイルストーンともいえる作品であり、コリアの音楽的探求心が色濃く反映されています。

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