トリデンテ級潜水艦

トリデンテ級潜水艦

トリデンテ級潜水艦は、ポルトガル海軍が運用する通常動力型潜水艦であり、旧式のアルバコーラ級潜水艦の後継として導入されました。ドイツのホヴァルツヴェルケ＝ドイツ造船（HDW）によって2隻が建造され、ポルトガル海軍の水中戦能力を大幅に向上させる役割を担っています。

概要

トリデンテ級は、形式上は209PN型と呼ばれていますが、実際には214型の派生型として設計されています。当初、HDWは209型を提案していましたが、後に提案内容を214型の派生型に変更しました。そのため、外見や一部のシステムは209型に似ているものの、内部構造や性能は214型をベースとしています。

この潜水艦は、ディーゼル・エレクトリック方式を採用しており、従来のディーゼルエンジンとバッテリーを組み合わせた推進システムを搭載しています。さらに、非大気依存推進（AIP）システムとして燃料電池を搭載している点が大きな特徴です。これにより、外部からの空気供給なしに長期間の潜航が可能となり、作戦行動範囲が大幅に拡大しました。

2基のディーゼル発電機（各1,000 KVA）は、主に浮上航行中またはシュノーケル深度においてバッテリーを充電するために使用されます。AIPシステムの搭載により、潜航状態での航続距離が飛躍的に向上し、リスボンと喜望峰の間を15日間で往復できるほどの性能を持つとされています。

特徴

非大気依存推進（AIP）システム: 燃料電池を搭載し、長期間の潜航を可能にしています。
ディーゼル・エレクトリック方式: 従来のディーゼルエンジンとバッテリーを組み合わせた推進システムを採用しています。
長大な航続距離: AIPシステムの搭載により、潜航状態での航続距離が大幅に向上しています。
静音性: 214型をベースとした設計により、高い静音性を実現しています。

同型艦

NRPトリデンテ (S160)
NRPアラド (S161)

艦名について

ポルトガル海軍では、1913年以来、潜水艦の艦名を海洋動物にちなんで命名する伝統がありましたが、トリデンテ級ではこの伝統から外れた艦名が採用されました。「トリデンテ」は、ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンの持つ三叉の矛を意味し、「アラド」は、ポルトガルの都市名に由来します。

トリデンテ級潜水艦は、ポルトガル海軍の水中戦能力の中核を担い、海洋における安全保障に貢献しています。その先進的な技術と優れた性能は、現代の潜水艦技術の粋を集めたものと言えるでしょう。

スペック

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