トリポ・ココルジャ

トリポ・ココルジャについて

トリポ・ココルジャ（Tripo Kokolja）は1661年2月28日にコトル湾近くのぺラストで生まれ、1713年10月18日に亡くなった画家です。彼は主にアドリア海の東部地域における美術に多大な影響を与え、特に静物画や風景画の分野で知られています。ココルジャは、ヴェネツィアで美術を学んだと言われており、その経験が彼の作品に独特のスタイルや技術を与えることになりました。

生涯と主要作品

ココルジャの最も重要な作品は、バール大司教アンドレジャ・ズマジェヴィッチからの委嘱を受けて作成された一連のキャンバスです。これらの作品は17世紀末に制作され、聖母教会に収められました。この教会は、ぺラストの沖にある小島の岩礁に位置しています。

彼の作品の下段には、予言者や巫女（シビュラ）が描かれ、上段には聖母の奉献、聖母の死、聖霊降臨の場面が展開されます。アーチの上部には、聖母戴冠があり、さらに教会の天井には聖母の生涯や福音伝道者、教父たち、天使、花籠などの静物画が描かれています。これらの作品はバロック時代の技法を駆使し、また地域特有の描画や透視の理解を示しています。

これらの作品は1883年に、当地のフランシスコ会士である画家ジョシップ・ロッシによって修復されましたが、その修復の質は劣悪であったため、一部の作品は本来の美しさを失っています。

他にもココルジャの作品には、ヴィッコ・ブジョヴィッチやクルスト・ズマジェヴィッチ提督の肖像画があり、彼の自画像と共に今は町の美術館に収められています。また、1670年に制作されたズマジェヴィッチ大司教の宮殿を飾る壁画は現在では失われてしまいましたが、風景画が描かれていたことが知られています。

晩年

ココルジャの晩年、特に友人であるヴィッコ・ブジョヴィッチの死を受けて、彼はクロアチアのコルチュラ島へ移住しました。そこで1713年に彼はこの世を去りました。晩年の彼の作品には、ブラチ島ボルのドミニコ会の教会のために描かれた油彩画なども含まれています。これらの作品もまた、彼の芸術的な遺産を形成している要素です。

ココルジャは、その作品を通じてアドリア海地域の美術に重要な貢献をした画家として記憶されています。彼の静物画や風景画は、単なる視覚的美しさだけでなく、地域の文化や信仰をも映し出す深い意味を持つものとして評価されています。彼の作品を通じて、当時の人々の生活や信仰のあり方を垣間見ることができるのです。

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