トリモチカビ目

トリモチカビ目の詳細

トリモチカビ目（学名：Zoopagales）は、トリモチカビ亜門に属し、微小動物や他の菌類に寄生または捕食する特性を持った菌類のグループです。元々は接合菌門の一部と考えられていましたが、後に独立した目として認識されるようになりました。

特徴

この目には、トリモチカビ属（Zoopage spp.）のような線虫を捕食する菌や、ゼンマイカビ属（Cochlonema spp.）の内部寄生菌などが含まれています。トリモチカビは、細長い多核体の菌糸で構成され、線虫が触れると菌糸が侵入してその栄養を吸収します。在来の分生子は、単独または数珠つなぎの形で生じます。

一方、ゼンマイカビはアメーバの内部に特化した菌糸体を形成し、無性生殖は分節胞子で行われます。この胞子が宿主の表面に着くことで内部に侵入が始まります。接合胞子の形成は、菌糸が太くなり一定の準備を整えた後に行われるため、その生殖方法は非常に特異です。

分類の変遷

接合胞子嚢の形成から、トリモチカビ目は接合菌類として扱われ、かつてはハエカビ目に分類されていましたが、Besseyの研究（1950年）によって独立した目と認識されました。その後、トリモチカビ科に位置していた内部寄生性のものがゼンマイカビ科として分離され、さらに1969年にはケカビ目に見なされていたヘリコケファルム科やエダカビ科が移されるなど、分類も進展してきました。

生育環境

これらの菌類は、主に土壌中や動物の糞など、宿主が育つ環境で見られます。特に、トリモチカビ科やゼンマイカビ科は、適した生育環境が整った土壌に多く存在し、時には水中でも見られます。観察が難しいこれらの菌は、環境依存性が強く、成長が速いが一時的であるため、なかなか見つけることができません。

生育や分類の課題

培養作業は非常に困難で、特にエダカビ科は宿主菌との二員培養でよく育てられます。エダカビ科のものは比較的観察されやすいですが、それ以外の種は見る機会が少なく、特にトリモチカビ科やゼンマイカビ科はその一部が比較的一般的に存在するとも言われています。観察することが難しい理由として、これらの菌が小動物と共生しているため、分離方法で容易に取り出せないことや、生育が短命で隠れやすいことが挙げられています。

分子系統と現在の視点

トリモチカビ目は、現在この目に含まれる種の明確な系統を持たないまま独立した亜門とされています。ただし、分子系統の研究からこの目の分類は進化の過程で再検証が必要であるとされ、今後の研究が期待されています。現在認められている属には、トリモチカビ科やゼンマイカビ科など、特有の生態を持つ種が多数含まれています。

まとめ

トリモチカビ目は、その特異な生態系や生殖様式から、微生物学や生態学において重要な役割を果たす菌類です。今後の研究によって、さらなる理解が進むことでしょう。

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