トリャヴナ

ブルガリアの隠れた宝石、トリャヴナ：歴史と文化が織りなす美しい町

トリャヴナは、ブルガリア北西部ガブロヴォ州に位置する、歴史と伝統に彩られた魅力的な町です。バルカン山脈の北側の斜面、トリャヴナ川渓谷に抱かれたその美しい風景は、訪れる人をたちまち魅了します。ガブロヴォという活気ある都市にも近く、交通アクセスも良好です。

古代から現代まで続く歴史

トリャヴナの起源は古く、トラキア時代にまで遡ると考えられています。しかしながら、その歴史を裏付ける記録として最古のものは12世紀の文書です。オスマン帝国支配下においても、トリャヴナの住民たちは山岳地帯の地の利を生かし、特権を認められ独自の文化を維持しました。興味深いことに、当時、町にはブルガリア人しか住んでおらず、トルコ人は入ることができなかったそうです。

ブルガリア民族復興時代には、トリャヴナは工芸の中心地として栄えました。独特のデザインが施された家々は、それぞれが芸術作品と言えるほど美しく、地上階は職人や商人が住み、上階は木製の張り出し窓と整えられた石屋根を持つ、独特の構造をしています。

見どころ満載の街並み

トリャヴナには、歴史的建造物や博物館が数多く点在しており、140を超える文化的遺産が大切に保存されています。

まず注目すべきは、1814年建造の時計塔のある地区です。時計塔の近くには、トリャヴナ川に架かる橋「キヴギレニヤト」があり、ブルガリア最古の世俗的な学校の1つがかつてここにありました。

町の中心部には、天使首ミハイル聖堂が建っています。12世紀、東ローマ帝国皇帝イサキオス2世アンゲロスが第二次ブルガリア帝国のツァール、イヴァン・アセン1世に敗れた後に建立されたと伝えられています。聖堂内部の木彫りのイコノスタシスと主教の座は、トリャヴナの木工技術の最高峰と言えるでしょう。

聖堂の近くには、民族誌学的コレクションを収蔵するライコフ邸があります。ここは、ブルガリアの化学者ペンチョ・ニコロフ・ライコフの生家でもあります。また、すぐそばには、ヴァシル・レフスキの同志であった革命家アンゲル・カンチェフの邸宅博物館もあります。

トリャヴナで最も人気のある博物館の1つに、1808年築のダスカロフ邸があります。ここは、有名な木彫りの太陽が展示されている木工製品とイコンの博物館です。天井は、二人の木工職人、ディミタル・オシャネツァとイヴァン・ボチュコヴェツァによって、互いに作業の様子を見ずに6ヶ月かけて完成させられたという逸話が残っています。

ペトコとペンチョ・スラヴェイコフ邸宅博物館では、二人の作家の詩作品が展示されています。息子のペンチョはノーベル賞候補にもなった人物でしたが、受賞前に亡くなりました。また、カリンチェフ邸は画廊として改装され、トテョ・グベンスキの寄贈による絵画が展示されています。イコンと木工製品の博物館には、160点を超える貴重なイコンが収蔵されています。アジア・アフリカ芸術博物館は、かつての公衆浴場を改修して作られたユニークな博物館です。

観光とアクセス

トリャヴナは、これらの歴史的建造物だけでなく、現代的なホテルやレストランなども充実しており、快適な滞在を楽しめます。町から20キロメートルの場所には、良質な鉱泉のあるヴォネシュタ・ヴォダもあります。さらに、ブルガリア全土から鉄道と道路でアクセスしやすいという利点もあります。

トリャヴナは、歴史と文化、そして自然の美しさが融合した、ブルガリアを代表する観光地と言えるでしょう。その美しい街並みと豊かな歴史に触れ、忘れられない旅の思い出を作りませんか？

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