トルコ大国民議会

トルコ大国民議会：トルコ共和国の立法府と歴史

トルコ大国民議会（Türkiye Büyük Millet Meclisi, TBMM）は、トルコ共和国の唯一の立法府です。1920年、アンカラで召集された大国民議会を起源とし、トルコ革命（祖国解放戦争）の中枢を担いました。初代議長はムスタファ・ケマル・アタテュルクです。現在、アンカラの官庁街南に位置する近代的な議事堂で活動しています。議場には「主権は絶対的に国民に属する」という憲法第6条の文言が刻まれています。

現憲法下の大国民議会

1982年憲法に基づき、TBMMは一院制の最高立法機関です。日本の国会と同様に、法律の制定・改正・撤廃、内閣の監督、条約の批准、宣戦布告の承認など、幅広い権限を有します。

トルコの議院内閣制において、首相は大国民議会で選出される、と規定されていましたが、大統領が指名した組閣担当者によって作成された閣僚名簿への承認という手順に変更されました。大統領は国民投票で選出されます。

議員の任期は4年（2007年までは5年）で、全国81県を選挙区とする比例代表制で選出されます。ただし、小党乱立を防ぐため、最低得票率10％という厳しい条項があり、これを満たせない政党は議席を獲得できません。無所属候補は全国得票率制限を受けません。

定例議会は毎年9月1日に召集され、閉会中や休会中の召集は大統領と議会議長が行います。議会の運営は議長理事会が行います。

歴史：大国民議会の成立と発展

TBMMの起源は、1877年のオスマン帝国議会まで遡ります。第一次世界大戦後、オスマン帝国の占領・分割に対抗するため、アナトリアで抵抗運動が組織されました。ムスタファ・ケマルが主導し、アナトリア・ルメリア権利擁護委員会が結成されました。イスタンブールの帝国政府は、1920年、総選挙を実施しましたが、国民の支持は権利擁護委員会に集まりました。その後、連合国によるイスタンブールの占領と帝国議会の解散を受け、ムスタファ・ケマルはアンカラに大国民議会を設立しました。

当初、TBMMは立法、行政、司法の三権を掌握する最高機関でした。ムスタファ・ケマルを議長に、内閣を組閣し、祖国解放戦争を指揮しました。これにより、イスタンブールの帝国政府とアンカラの革命政権という二つの政府が事実上並存する状況となりました。

一党制時代と多党制への移行

1922年、ギリシャ軍を撃退し連合国と休戦協定を結んだ後、ムスタファ・ケマルはオスマン帝国を解体し、トルコ共和国を建国しました。共和人民党の一党独裁体制を確立し、様々な近代化改革を推進しました。

1938年にアタテュルクが死去した後も、一党支配は続きましたが、第二次世界大戦による経済的打撃と共和人民党への不満の高まりから、1946年に民主党が結成されました。1950年の選挙で民主党が勝利し、多党制が確立しました。しかし、民主党長期政権は経済政策の失敗や独裁傾向により、1960年に軍事クーデターで打倒されました。

第二共和制から第三共和制へ

1961年に新憲法が制定され、二院制となり、三権分立が確立されました。また、憲法裁判所が設立されました。しかし、小党乱立が問題となり、1980年に再び軍事クーデターが発生し、第二共和制は終焉しました。その結果、上院が廃止され、一院制に戻り、現在の憲法が制定されました。

結論

トルコ大国民議会は、トルコ共和国の歴史と発展を象徴する機関です。一党支配から多党制へ、そして再び一党支配への傾向が見られるなど、その歴史は複雑で、常に変化を繰り返しています。今後もトルコ政治の中枢として重要な役割を担い続けるでしょう。

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