トルコ高速鉄道

トルコ高速鉄道

トルコ高速鉄道は、トルコ国鉄（TCDD）が運営する高速鉄道網です。主要都市間の移動時間を大幅に短縮し、トルコの交通インフラを大きく変革しています。

概要

トルコ高速鉄道網は、2003年に着工した「アンカラ・イスタンブール高速線」を基盤としています。この路線は、トルコ最大の都市イスタンブールと首都アンカラを結ぶ重要な路線であり、2009年に一部区間が開業しました。その後、「アンカラ・コンヤ高速線」が2011年に開業し、さらに「アンカラ・スィヴァス高速線」が建設中です。また、イスタンブール付近では、ボスポラス海峡の海底トンネルであるマルマライに組み込まれており、ブルガリア方面への延伸も計画されています。

トルコ運輸省は、2013年までに1,500km、2023年までに4,000kmの高速鉄道網を整備する計画を立てています。列車は、「高速列車」を意味するYüksek Hızlı Tren（YHT）のブランドで運行されています。

路線

アンカラ・イスタンブール高速線

アンカラとイスタンブールを結ぶ主要路線です。従来の鉄道路線では6時間30分程度かかっていた両都市間を、高速鉄道の開業により大幅に短縮しました。初期の計画では、路盤の強化やカーブの改良によって時速100kmでの走行を目指していましたが、後に時速200km、そして250kmに対応するように変更されました。2009年にアンカラ - エスキシェヒール間が開業し、その後、2014年にイスタンブールのアジア側郊外にあるペンディック駅まで、さらに2019年にはソウトリュチェシュメ駅まで延伸しました。現在、イスタンブール中心部への乗り入れが計画されており、全線開業時には所要時間が従来の半分以下となり、旅客シェアも大幅に増加すると期待されています。

アンカラ・コンヤ高速線

アンカラとトルコ内陸部のアナトリア地方の中心都市コンヤを結ぶ路線です。アンカラからポラトルまでは「アンカラ・イスタンブール高速線」と共用し、そこから南下してコンヤに至ります。従来の路線では10時間以上かかっていたアンカラ・コンヤ間を、1時間30分に短縮しました。2013年には、アンカラ・コンヤ線とアンカラ・イスタンブール線をショートカットする短絡線が開通し、エスキシェヒル - コンヤ間の直通列車も運行されています。

アンカラ・スィヴァス高速線

アンカラとスィヴァスを結ぶ路線で、従来の路線では12時間以上かかっていた所要時間を、2時間51分に短縮する計画です。この路線は全線複線で建設されており、2023年春の開業が予定されています。また、スィヴァスから先のカルス方面への延伸も計画されています。

アンカラ・イズミル高速線

アンカラと西部の主要都市イズミルを結ぶ路線です。「アンカラ・コンヤ高速線」から分岐し、アフィヨンとウシャクを経由してイズミルに至る計画で、所要時間は3時間20分とされています。当初は2013年の開業を目指していましたが、2024年以降の開業予定となっています。

計画中の路線

以下の路線が計画されており、更なる高速鉄道網の拡大が期待されます。

アンカラ・サムスン高速線: アンカラから黒海沿岸都市サムスンへ至る路線。
アンカラ・ブルサ／イスタンブール・ブルサ高速線: 「アンカラ・イスタンブール高速線」のオスマネリ駅から分岐し、ブルサへ至る路線。
イスタンブール・エディルネ高速線: マルマライの延長として、イスタンブールから西部エディルネ県カプクレへ至り、さらにブルガリア方面へ延伸予定。

これらの路線で使用される列車の最高速度は、時速250kmから300kmの予定です。

車両

トルコ高速鉄道では、スペインのCAF社製HT65000系電車や、シーメンス社製のヴェラロ（Velaro TR）などが使用されています。かつてイタリアから借用したETR500編成は、最高速度303km/hを記録し、トルコの鉄道最速記録となりました。また、ユーロテム社（EUROTEM）が設立され、韓国のロテムとトルコのTÜVASAŞの合弁で、HSR-350Xのライセンス生産が計画されていましたが、実現には至っていません。

関連項目

アンカラ - イスタンブール高速鉄道
アンカラ - コンヤ高速鉄道
トルコ国鉄
* マルマライ

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