トルチェスク

トルチェスク：キエフ・ルーシ時代のポロシエの都市

トルチェスク（ロシア語: Торческ）は、キエフ・ルーシ時代のポロシエに位置した都市であり、チョールヌィ・クロブキという遊牧民の重要な拠点でした。

歴史

11世紀、キエフ大公によってオグズ族の集落があった地域に建設されたトルチェスクは、遊牧民に分与された都市でした。キエフ大公国は、その防衛機能を強化し、守備隊を配置することで、ポロヴェツ族に対する重要な前哨地としての役割を担わせました。

1093年以降、史料にその名が現れ始めます。これはポロヴェツ族がルーシの地に侵入を開始した時期と一致します。トルチェスクがポロヴェツ族の攻撃を受けると、キーウへ援軍が要請されましたが、間に合わずに陥落し、住民が捕虜となることもありました。

1161年には、リューリク公（後のオーヴルチ公、キエフ大公）の所領となりました。12世紀末から13世紀初頭にかけて、トルチェスクに関する記述は一時的に途絶えますが、ルーシの都市としての地位は維持されていました。1169年には、ミハイル公（後のウラジーミル大公、キエフ大公）がトルチェスクを受領しています。また、1227年にガーリチ公位を失ったムスチスラフは、トルチェスクを足掛かりに再起を図りましたが、翌年に亡くなりました。年代記には、1231年にガーリチ公ダニールがトルチェスクを獲得したと記されていますが、ムスチスラフの記念碑には、彼の息子が獲得したと記されています。いずれにせよ、1232年には、トルチェスクを含むポロシエ一帯はダニールの所領となりました。

トルチェスクに関する最後の記述は、1234年のルーシ軍とポロヴェツ軍との戦闘に関するものです。モンゴルのルーシ侵攻によって破壊されたトルチェスクは、その後再建されることはありませんでした。

位置

現在のキーウ州ビーラ・ツェールクヴァから38km東に位置する広大な城址（約90ヘクタール）が、トルチェスクの跡地であると考えられています。城址には、長さ1400mの防壁と2つの内城（デティネツ）区域、そして無防備の居住地が付随しています。B.ルィバコフの研究によれば、この城址はベレンデイ族の都市であり、デティネツはルーシ人地区であった可能性があります。考古学的調査の結果、城址は12～13世紀のものであることが判明しており、トルチェスクの存在期間と一致しています。

参考文献

Нерознак В. П. Названия древнерусских городов / Отв. ред. акад. Д. С. Лихачёв. Институт языкознания АН СССР.. — М.: Наука, 1983. — 208 с.

関連項目

沿ローシ川防衛線

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