トルネーシアン

トルネーシアンとは

トルネーシアン（英: Tournaisian）は、国際層序委員会によって定義された地質学用語で、石炭紀のミシシッピアン亜紀の前期を指します。この階は、約3億5890万年前から3億4670万年前の間に相当し、後のビゼーアン階に続きます。トルネーシアンの基準となる地点は、フランス南部のエロー県Cabrières村のLa Serre hillにあり、ここにおける国際標準模式層断面（GSSP）が設定されています。

層序の特徴

トルネーシアン階の基底は、かつてはアンモナイトの種Gattendorfia subinvolutaが用いられていましたが、現在はシフォノデラ属のコノドントの一種、Siphonodella praesulcataから進化したSiphonodella sulcatが初めて出現する点が基準とされています。北アメリカの層序では、トルネーシアンがKinderhookian階と下部Osagean階に対応し、中国の層序ではTangbagouan階が該当します。一方、イギリスの層序においては、下からHastarian、Ivorian、下部Chadianの3つの亜階に分かれています。

環境と火山活動

トルネーシアンの時代は、かつてのアジア地域において活発な火山活動が見られました。中国新疆ウイグル自治区の東天山には、火山岩で構成されたTrukestan累層があり、トルネーシアンの時期も火山活動が盛んであった可能性があります。また、東天山のTisnab累層下にある凝灰岩や輝緑岩の層もこの時代に関連付けられています。南山東部では、老君山礫岩中に火山凝灰岩と集塊岩が確認されており、これらもトルネーシアン期に形成された可能性があります。

生物の多様性と絶滅

トルネーシアン期は、後期デボン紀の大量絶滅を経た後の時代です。この期間中、陸上動物の化石はほとんど発見されておらず、これは「ローマーの空白」と呼ばれています。海洋生態系が絶滅以前の多様性を回復するのには、約3600万年がかかったとされ、トルネーシアンの間には大規模なサンゴ礁が形成されることはありませんでした。ただし、中国西北部の上部トルネーシアンからビゼーアン階にかけては、腕足動物のグランディスピリファー・ミルケンシスが報告されています。

日本における化石の発見

日本では、山口県の秋吉石灰岩の最下部に位置する凝灰質頁岩からトルネーシアンのコノドント化石が発見されています。これにより、秋吉石灰岩がトルネーシアンにさかのぼることができるとされています。日本の生物礁形成は、火山活動がほぼ終了したトルネーシアンからビゼーアンにかけて開始され、ウミユリが先駆生物として繁栄し、外肛動物（コケムシ）がその後に参入する形で初期の礁が形成されました。

東北地方の南部北上帯では、尻高沢層からトルネーシアンの腕足動物化石が見つかっており、Schizophoria pinguisやUnispirifer kozuboensisなどが含まれています。しかし、長安寺付近にある砂岩頁岩層は後期デボン紀の腕足動物化石が発見されているため、上部デボン系と見なされています。

トルネーシアンは地質学的に重要な時代であると共に、生物の多様性や環境の変遷を理解する上でも貴重な情報を提供しています。

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