トルン条約 (1709年)

トルン条約：大北方戦争における重要な合意

トルン条約（英語: Treaty of Thorn）は、1709年10月9日にポーランド＝リトアニア共和国のアウグスト2世とロシア・ツァーリ国のピョートル1世の間で結ばれた重要な合意です。この条約は、大北方戦争の最中にあり、スウェーデン国王カール12世によって1706年に結ばれたアルトランシュテット条約に基づく同盟を再構築し、アウグスト2世の王位復帰を正式に認めるものでした。

背景

大北方戦争は、スウェーデン、ロシア、ポーランド＝リトアニア、デンマークといった北欧諸国の間で繰り広げられた戦争ですが、この時期にスウェーデンはポルタヴァの戦いで大きな敗北を喫しました。この結果、スウェーデンの軍は壊滅的な打撃を受け、カール12世はオスマン帝国に逃れることとなったのです。この状況下で、アウグスト2世はポーランド＝リトアニアへ進軍し、スウェーデンと結んでいたスタニスワフ・レシチニスキから王位を取り返すことに成功しました。彼は迅速にポーランド領を再征服し、トルンでピョートル1世と会談を行い、地域の未来に関する合意を形成しました。

条約の内容

協議の結果、ピョートル1世はポーランド＝リトアニア共和国の主要な地位を親ロシアの貴族によって占めることを確保し、アウグスト2世の復位に同意しました。さらに、アウグスト2世にはポーランドに存在する反ロシア派の組織を弾圧する義務が課せられました。また、秘密条項ではスウェーデンのリヴォニアが占領後に分割され、南部はアウグスト2世が、北部はピョートル1世が獲得することが定められました。しかし、物事はこの合意の後も予想外の展開を見せました。

トルン条約ではアウグスト2世にリヴォニア獲得が約束されましたが、これらの取り決めは最終的には無効となり、その後も二人の関係に緊張が生じることとなります。

その後の展開

トルン条約の締結後、ピョートル1世は反スウェーデン勢力の再組織に取り掛かります。彼はまずプロイセン国王フリードリヒ1世と会談し、続いてリガ周辺のロシア軍の基地に移動しました。デンマークとの同盟は1700年のトラヴェンタール条約で解体し、その後1709年のコペンハーゲン条約により復活しました。

1710年初頭、アウグスト2世はポーランドのワルシャワに入城し、対立王であったスタニスワフ・レシチニスキをシュトラールズントに追放します。彼がポーランド＝リトアニアでの権限を確立させると、1711年にはスウェーデン領ポンメルンに侵攻し、シュトラールズントを包囲しました。これは大北方戦争中におけるポーランド、デンマーク、ロシアの軍が初めて協力して行った作戦でした。一方のピョートル1世はリヴォニアに対する攻撃を完了させ、スウェーデンに対する趨勢をさらに強化させていきました。

このように、トルン条約は単なる停戦協定にとどまらず、北東ヨーロッパの力関係においても大きな影響を及ぼした出来事として歴史に刻まれることとなったのです。

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