トレギエ

ブルターニュ地方、コート＝ダルモール県に位置するトレギエは、ブルトン語でランドレガーと呼ばれる歴史的なコミューンです。古くからトレゴール地方の中心地として栄え、現在もその豊かな歴史遺産は訪れる人々を魅了しています。特に、壮麗な聖堂、迷路のような狭い路地、そして趣のある木組みの家々が、かつて司教座が置かれていたこの町の面影を色濃く残しています。

地理

トレギエの町は、ジョディ川とガンディ川が合流し、やがてトレギエ川となる地点に突き出す半島状の地形の上に広がっています。これらの河川は、トレゴール地方の台地を深く浸食して谷を形成しており、トレギエは文字通り二つの川の谷に挟まれた場所に位置しています。合流後のトレギエ川は、川幅が250メートルから500メートルにも広がり、その河口部は複雑な入り江が連続するリアス式海岸となっています。長い間、ジョディ川とガンディ川を渡るには渡し舟が重要な役割を果たしていました。

港と経済

海から約9キロメートル内陸に位置するトレギエ港は、中世以来活発な交易拠点でした。喫水線が浅い小型船は河口の奥深くまで遡上することができ、15世紀末頃まで、砂、石材、コムギ、そして繊維原料となるアマなどが盛んに取引されていました。特にジョディ川は、ガンディ川との合流地点に近い部分で水深があり、大型船舶も停泊可能な岸辺を有していました。また、トレギエ川では漁業も栄え、特に1853年の規制によってその重要性が示唆されているように、魚、甲殻類、そして天然のカキ漁が盛んでした。1896年には、330人の漁師が約230隻の船を用いて天然カキを採取していましたが、その後漁業活動は次第に衰退し、1905年には漁船の数が87隻に減少しました。遠洋漁業として、アイスランド近海へのタラ漁に出る者もいました。しかし、町の領域が狭く、これが長期にわたる都市開発の制約となってきました。

歴史

トレギエの歴史は古く、西暦542年頃、聖職者テュグデュアルがこの地を司教座としたことに始まります。彼はブルターニュ初期の最も重要な司教の一人であり、グレートブリテン島から母とともに移住してきたと伝えられています。彼の修道院を中心に急速に人々が集まり、定住地が形成されていったと考えられています。トレギエはまた、ブルターニュ初期の七聖人を巡る重要な巡礼路であるトロ・ブレイスの巡礼地の一つでもあります。

9世紀の848年には、ブルターニュ王ノミノエがこの修道院を世俗司教区とし、トレギエは1790年のフランス革命まで司教を頂くことになります。しかし、その直後に族長ハスティング率いる第一次ノルマン人侵攻によって町は荒廃し、住民は一時的に町を捨てざるを得ませんでした。11世紀から13世紀にかけて、町は聖テュグデュアルのもう一つの名であるサン＝パビュとも呼ばれていました。

トレギエの歴史を語る上で欠かせない人物が、弁護士の守護聖人としても知られる聖イヴ・ド・ケルマルタン、すなわち「トレギエのイヴ」です。1253年頃、ケルマルタン荘園で生まれた彼は、貧しい人々のために尽力したことで知られ、現在も残るゴシック様式の壮麗な聖堂は、彼の功績を称えるべく建てられました。聖堂には、1450年から1479年にかけて建設されたゴシック様式の美しい回廊があります。この回廊には、ブルターニュ公ジャン5世や聖イヴの墓所が設けられています。興味深いことに、この回廊ではかつて市が開かれており、商人は教会の参事会に使用料を支払うという、教会と商業が密接に結びついた様子がうかがえます。1505年には、ブルターニュ女公アンヌ・ド・ブルターニュも聖イヴの墓を詣でるためにこの地を訪れています。

17世紀から18世紀にかけて、トレギエは二つの教区に分かれ、多くの重要な宗教施設がひしめく、非常に宗教色の強い町でした。現在では失われてしまった建物もありますが、エルネスト・ルナンがトレギエを「巨大な修道院」と評したように、経済や貿易の規模は比較的小さく、至る所に存在する聖職者の存在が町の雰囲気を特徴づけていました。聖イヴのパルドン祭りは、当時のトレギエにとって非常に重要な年中行事でした。

しかし、フランス革命の波はトレギエにも及びました。1789年頃、町の多くは新たな思想に順応しましたが、司教ル・ミンティエとその従者トーパンは新思想に敵意を示し、イギリスへ亡命しました。悲劇的なことに、トーパンの妻は宣誓を拒否した聖職者を匿った罪で、マルトレ広場においてギロチン刑に処されました。さらに、1794年の冬、エタンプからの義勇兵大隊によって、コミューン内の全ての宗教施設が廃止され、家具、彫刻、金属細工、ステンドグラスといった貴重な財産の全てが失われました。革命による司教座の廃止はトレギエに大きな打撃を与えました。もはや革命以前のような司教座都市としての地位はなくなり、革命後は隣接するサン＝ブリユー司教座に組み込まれることとなりました。この混乱と衰退により、人口は最盛期の12分の1にまで激減したと言われています。

20世紀に入り、第二次世界大戦中には、ドイツ軍の潜水艦に対抗するため、短期間ではありますがアメリカ海軍の航空隊基地がトレギエに設置されました。1944年8月には、トレギエ解放を巡る激しい戦闘が行われました。8月6日にはアメリカ軍の爆撃機4機がドイツ軍の駐屯地を爆撃し、その結果5人の民間人が犠牲となり、町の建物にも大きな損傷を与えました。

文化

現在、トレギエではブルトン語の文化も大切にされています。2007年秋の時点で、コミューン内の児童の約16%が、ブルトン語とフランス語の両方で教育を行う二言語学校に在籍しており、地域の言語と文化の継承が進められています。

ゆかりの人物

トレギエは、歴史上多くの著名人ともゆかりがあります。1775年にトレギエの教会参事員であったエマニュエル＝ジョゼフ・シエイエス、哲学者・歴史家のエルネスト・ルナン（彼はトレギエを故郷として深い愛着を抱いていました）、そして大西洋無着陸飛行で知られるチャールズ・リンドバーグもこの地に住宅を所有していました。また、作曲家ポール・ル・フレムはトレギエでその生涯を終えました。

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