パルドン祭り

パルドン祭り：ブルターニュの伝統的な巡礼

パルドン祭り（Pardon）は、フランス、ブルターニュ地方で行われる独特な巡礼行事です。庶民のカトリック信仰に深く根ざした伝統的な行事であり、その起源はケルト人のキリスト教化時代に遡ると言われています。

パルドン祭りの意味と特徴

「パルドン」という名前は「告解」を意味します。信者たちは、聖人の墓や聖人に捧げられた場所へ巡礼します。これらの場所は、奇跡の出現や聖遺物と関連していることが多いです。

巡礼は、教区ごとの集団や信徒団体などによって行われます。参加者は旗印や十字架などを掲げ、その華麗さや高潔さを競い合います。巡礼者は指定された場所に集まり、信仰の証として旅の努力を捧げることで、聖人からの取りなしを願います。

この巡礼は、地上にいる人々が天上の王国や約束の地へ向かう旅を象徴しているとも言えます。巡礼者はミサに出席する前に罪を告白し、夕べの祈りに参加します。そして、免罪を受けた後、共同体の祝宴に加わります。この祝宴は、村祭りや移動遊園地のような賑わいを見せることもあります。

パルドン祭りの代表は、教会の高位聖職者が務めるのが慣例で、彼らは「パルドヌール（pardonneur、赦しを与える者）」と呼ばれます。行列に聖遺物が含まれている場合、パルドヌールは行進の間、聖遺物を運びます。この聖遺物を運ぶ名誉は、社会の多様なグループを代表する最も優れた人物に与えられることが多いです。

主要なパルドン祭り

一部のパルドン祭りは、8月15日の聖母の被昇天日のような有名な宗教行事に合わせて開催されます。これらのパルドンは聖母マリアに捧げられ、その後、聖母マリアの母でありブルターニュの守護聖人である聖アンヌに捧げられるパルドンが続くのが一般的です。

その他にも、地元の聖人に捧げられるパルドンが多く存在します。これらの聖人は、特定の人々やその活動を保護する役割を担っています。例えば、トレゴールでは6月上旬に聖ギルダスに捧げられるパルドンがあり、結婚に関する若い女性の守護聖人である聖ギレックのパルドンや、個々の教区の守護聖人に捧げるパルドンも行われます。

トレギエの聖イヴ（法律家の守護聖人）のパルドンは、彼にちなんだ告解の祭りとして知られています。この祭りには、世界中から弁護士や裁判官などの法律関係者が集まり、聖イヴの生誕地にある彼の墓に詣でます。

その他の有名なパルドン祭りとしては、以下のようなものがあります。

サンタンヌ＝ドーレー: 17世紀に貧農が聖アンヌから礼拝堂を建てるよう命じられたという伝説に由来します。
ロクロナン: 聖ロナンを讃え、伝統的なブルターニュの民族衣装を着て12kmもの巡礼行進を行います。

芸術におけるパルドン祭り

パルドン祭りは、19世紀フランス美術において人気の題材でした。画家たちは、伝統的な衣装を身に着けたブルターニュの人々が祭りに繰り出す様子を描きました。ジュール・ブルトンやパスカル・ダニャン＝ブーベレなどが、パルドン祭りの光景を数多く描いています。ポール・セリュジエやポール・ゴーギャンといったポン＝タヴァン派の画家も、ブルターニュ文化のこの側面に触発され作品を制作しました。

パルドン祭りは、ブルターニュの文化と信仰を色濃く反映した、魅力的な行事です。

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