トロリーコンタクター

トロリーコンタクターの概要

トロリーコンタクターとは、主に路面電車が分岐点でのポイントや信号機の操作を行うため、架線に取り付けられた装置です。略称として「トロコン」とも呼ばれます。「トロリー」は集電装置を意味し、「コンタクター」は接触器を指します。

歴史的背景

以前は、路面電車やトロリーバス（無軌条電車）が運行されていた時代に、分岐点でポイント操作を行う係員が存在していました。彼らは電車の行き先を確認し、手動でポイントを切り替えていました。しかし、効率化が求められる中、無人化に向けた方法として、電車の停車位置を利用してポイントを操作する方式が導入されました。この背景で誕生したのがトロリーコンタクターで、最初に大阪市電に設置されたと言われています。

構造と機能

通常、トロリーコンタクターは架線に取り付けられており、棒状のスイッチが備えられています。電車が通過する際に、パンタグラフがこのスイッチを押すことで通過を検知します。特に単線区間では、スイッチを押すことで特殊自動閉塞式が働きます。

方式の種類

信号機用（交通信号）

電車用信号と交通信号が連動する場所において、電車の接近を検知するために設置されたコンタクターです。通常、入口と出口の2箇所に設置され、最初のコンタクタが作動すると信号は待機状態に入ります。次の信号のサイクルでは、進行信号または黄色の矢印が表示されます。電車が進行信号を受ける際、自動車側では停止信号が出されることが一般的で、交通が完全に止まらない状況下では警報機が作動することもあります。

信号機用（電車信号）

折り返し運転の際に使用される渡り線に設置されるコンタクターです。このスイッチが作動することで、反対側の線路に停止信号が表示されます。電車は折り返すかそのまま進行し、再度コンタクタが作動するまで停止する必要があります。札幌市電や広島電鉄の停留所でも見られます。

分岐用（時間差方式）

架線に複数のコンタクターが設置され、パンタグラフが通過する時間によって転轍を切り替える方法です。最低2つのスイッチがあり、Aを通過後にすぐBを通過すると定位になりますが、Aを通過後に停止し、規定時間待つと反位に切り替わります。このシステムは広島電鉄や伊予鉄道などに採用されています。

分岐用（表示器方式）

表示器が設置され、一定の周期で定位または反位を表示します。運転士は進行したい方向の表示が点灯している間にコンタクタの区域に進入します。コンタクタが作動すると、示されている方向へと転轍されます。この方式は長崎電気軌道や函館市電で採用されています。

結論

トロリーコンタクターは、現代の路面電車やトロリーバスの運行において、分岐点でのポイント操作を自動化し、効率的な運行を支える重要な役割を果たしています。その進化は、路面電車の運行の信頼性と安全性を高めるために欠かせない要素となっています。

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