トロロコンブ

トロロコンブ（Saccharina gyrata）

トロロコンブは、オクロ植物門褐藻綱コンブ目コンブ科に属する海藻で、北海道釧路町以東の太平洋沿岸から得撫島にかけて分布しています。2年性の海藻であり、その名前は刻んで湯を注ぐととろろ状になることに由来します。ただし、市販されているとろろ昆布の原材料としては、他の肉厚なコンブが使用されることが一般的です。

特徴

根: 繊維状に分岐し、絡み合って数層に輪生した直径5-8cmの付着器を形成します。
茎: 長さ3-6cmで、下部は円柱状、上部は扁平でくさび状に広がり、葉に繋がります。皮層中には小さな粘液腔道がまばらに1列に並びます。
葉: 基部は円形から楔形まで変異が多く見られます。形状は帯状から倒卵形まで幅広く、帯状のものは長さ1.5-4m、幅7-15cm、他の形状では長さ1-1.5m、幅20-30cmに達します。中帯部は平坦で紋様がなく、幅は1-3cmと狭く、表面でわずかに凹んでいます。葉の表面には、長軸に対して直交する方向に龍紋状の凹凸紋が形成されるのが特徴です。粘液腔道は大きく、断面から見ると皮層に1列に並んでいます。
1年目の葉: 細長い線状または帯状を呈します。6-7月頃の若い葉は薄く、縁が波打ち縮れていますが、8月を過ぎて充実してくると、縁が平滑になるものも見られます。
2年目の葉: 1年目の葉の基部から再生し、その後1年目の葉は流出して完全に2年目の葉となります。再生は11月以降に始まり、新葉の先に旧葉が残る突出型となります。再生中の葉は1年目の葉よりも幅広く、縁は強く波打ち縮れていますが、成長とともに縁は平滑になります。形状は帯状の細長いものから長楕円形の幅広いものまで見られます。
葉の質: 革質で、色は黄色がかった褐色から生育が進むにつれて濃い褐色になり、粘質に富んでいます。葉の質の充実は9月から11月にかけて進みますが、他のコンブよりも遅く、採取時期も10月とナガコンブが終わってからとなります。
龍紋状凹凸紋: 1年目の生育初期には見られませんが、成長とともに明瞭になり、単純な形から複雑な形へと変化します。2年目の再生期には不規則ですが、成長とともに規則正しく複雑になります。帯状の葉では紋様の並びは規則的ですが、幅が広いものでは不規則になる傾向があります。
子嚢斑: 1年生および2年生の葉の両方に形成されます。2年目の葉での形成が早く、9月下旬に始まり、裏面の下部から上下および中帯部を挟んだ葉の中央から縁へと進み、やがて表面でも同様に形成されます。いずれも龍紋状紋様の凹部に形成され、10月下旬には遊走子が放出されます。
* 生育環境: 内湾から外洋までの潮間帯下部から漸深帯の浅い場所（水深1m付近）で生育し、平坦な磯で群生し、ナガコンブとはすみ分けることがあります。

分類

葉に見られる龍紋状の凹凸を特徴とし、かつてはガゴメ[[コンブ]]とともにトロロコンブ属 (Kjellmaniella) に分類されていましたが、2006年にカラフトコンブ属 (Saccharina) に移されました。産地によって葉の形状に変異が大きく、Kjellmaniella gyrata f. linearis、f. latioris、f. obovata の3品種が存在します。これらの品種の属名は、基本種の属の移動に伴う関連付けがされていないため、現在もKjellmaniellaのままです。var. crispata Miyabe は f. latioris のシノニムと考えられています。

漁獲と利用

ナガコンブと混獲されることがあります。とろろ昆布やおぼろ昆布などの加工原料として利用されますが、経済的な重要性はナガコンブやガッガラコンブよりも低いとされています。

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