トンプソン (バンド)

トンプソン (クロアチアのロックバンド)

トンプソン（Thompson）は、クロアチア出身のロックバンドです。中心人物はマルコ・ペルコヴィッチ（Marko Perković）であり、彼はM. P. トンプソン（M. P. Thompson）という名でも知られています。バンド名義である「トンプソン」は、マルコ・ペルコヴィッチ個人を指すこともあります。

バンドの概要

トンプソンは、リード・ヴォーカルとソングライターを務めるマルコ・ペルコヴィッチが中心となって活動しています。ベーシストのティホ・オルリッチ（Tiho Orlić）もサブ・ヴォーカルとして参加していますが、他のメンバーはあまり目立つことはありません。「トンプソン」というバンド名は、マルコ・ペルコヴィッチが愛用していたトンプソン・サブマシンガンに由来します。彼はナイトウィッシュ、アイアン・メイデン、AC/DC|AC_DCなどのロックバンドを好むと公言しています。

主な活動

トンプソンは毎年8月5日、「勝利と祖国への感謝の日」に、マルコ・ペルコヴィッチの故郷であるチャヴォグラヴェでコンサートを開催しています。この日は、クロアチア紛争においてクロアチア軍がクライナ・セルビア人共和国を制圧した日です。過去には、マテ・ブリッチ（Mate Bulić）やドラジェン・ゼチッチ（Dražen Zečić）など、他のアーティストとの共演も行っています。また、クロアチア・ワールド・ゲームの公式曲や、クロアチア権利党の公式曲も制作しています。

物議を醸す楽曲

トンプソンの楽曲の中には、歌詞の内容が物議を醸すものも存在します。オランダ政府は、ファシズムの宣伝を禁止する理由から、トンプソンの楽曲をファシズム的であるとして、オランダでの活動を禁止しました。しかし、マルコ・ペルコヴィッチは、自身のコンサートツアーを前に「栄光あるクロアチア軍の勲章を身につけろ」と発言しています。

歴史

1991年のクロアチア紛争初期、マルコ・ペルコヴィッチは「Bojna Čavoglave」（チャヴォグラヴェ大隊）という曲で注目を集めました。この曲は、「Za dom - Spremni!」という、第二次世界大戦中のウスタシャのスローガンで始まります。この曲は、セルビア人武装勢力からチャヴォグラヴェを防衛するクロアチア陸軍への呼びかけであり、クロアチア軍の士気を高め、人気を博しました。

1992年には初のアルバム『Moli mala』を発表。1995年には嵐作戦に参加するため短期間軍に復帰しました。その後、1990年代後半には人気が低迷しましたが、2000年のクロアチア議会選挙後、左派政権が誕生すると、再び人気を集めるようになりました。コンサートでは、当時の首相や大統領を侮辱することもあったようです。

その他の活動

トンプソンの楽曲は、クロアチアで広く親しまれており、サッカーの試合やイベントでよく流されます。また、音楽フェスティバルでの優勝経験もあります。しかし、一部の楽曲は、セルビア人やユダヤ人などからの批判も受けています。

E, Moj Narode ツアー

2002年にリリースされたアルバム『E, Moj Narode』の販促ツアーでは、スプリトのポリュド競技場で大規模なコンサートを開催しました。コンサートには多くの観客が集まりましたが、同時に論争も巻き起こしました。

Bilo jednom u Hrvatskoj ツアー

2006年12月にアルバム『Bilo jednom u Hrvatskoj』をリリース。その後のツアーでは、クロアチア国内外でコンサートを開催しました。ザグレブのマクシミル競技場でのコンサートは、クロアチアの公共放送で中継されました。また、このツアー中に、ボブ・ディランがトンプソンの音楽を気に入ったというエピソードも残っています。

トンプソンの音楽とサッカー

トンプソンのヒット曲「Lijepa li si」は、サッカークロアチア代表の試合でよく流れます。しかし、2007年には、対イスラエル戦でこの曲が流れなかったことが批判を呼びました。

批判と論争

トンプソンの楽曲や活動は、様々な批判や論争の的となっています。特に、「Bojna-Čavoglave」や「Jasenovac i Gradiška Stara」などの楽曲は、歌詞の内容が問題視されています。また、コンサートでの観客の行動や、ペルコヴィッチ自身の発言も、批判の対象となることがあります。

メンバー

マルコ・ペルコヴィッチ（Marko Perković）
ティホ・オルリッチ（Tiho Orlić）
フェドル・ボイッチ（Fedor Boić）
ダミル・リポシェク・ケックス（Damir Lipošek Kex）
トミスラヴ・マンダリッチ（Tomislav Mandarić）
ダミル・ショメン（Damir Šomen）

ディスコグラフィー

アルバム
コンピレーション・アルバム
コンサート・アルバム
コンサート・ビデオ
ティホ・オルリッチのアルバム