トンボ亜目

トンボ亜目（不均翅亜目）の詳細

トンボ亜目（トンボあもく）は、昆虫綱トンボ目に属するグループで、不均翅亜目とも呼ばれます。彼らは、大きな複眼、2対の透明な翅、そして細長い体を特徴としています。イトトンボ亜目と似ていますが、成虫の翅の付き方と静止時の姿勢に違いが見られます。

形態と特徴

トンボ亜目の昆虫は、6本の脚を持っていますが、歩行は得意ではありません。その代わり、飛行能力に特化しており、優れたハンターとして活躍します。

複眼: 非常に大きく、広い視野を持ち、獲物を捉えるのに役立ちます。
翅: 前翅と後翅の形が異なり、これが「不均翅」の由来です。静止時には翅を左右に広げて止まります。
体: 細長く、飛行に適した流線形の体型をしています。

語源

学名「Anisoptera」は、ギリシア語の「an（不）」、「iso（均）」、「ptera（翅）」に由来し、後翅が前翅よりも幅広であるという特徴を表しています。

生活環

トンボ亜目の生活環は、卵、幼虫（ヤゴ）、成虫の3つの段階を経ます。

1. 産卵: メスは水中に産卵します。水草の近くなど、ヤゴが育ちやすい場所に卵を産むため、親が水中に潜る種もいます。
2. 幼虫（ヤゴ）: 卵から孵化したヤゴは水中で生活し、伸縮自在の顎を使ってボウフラなどの無脊椎動物や、オタマジャクシ、魚などの脊椎動物を捕食します。直腸鰓で呼吸し、危険が迫ると肛門から水を噴射して素早く移動します。一部のヤゴは陸上でも狩りを行います。
3. 変態と羽化: ヤゴは数回の脱皮を繰り返し、成熟すると水辺の植物の茎などを登り、空気に触れることで変態を開始します。背中が割れ、中から成虫が現れ、翅を広げて飛び立ちます。
4. 成虫: 成虫は、カやハエ、ハチなどの小昆虫を捕食します。飛行能力が高く、上下、前後、左右の6方向に自由に移動できます。

分類

かつてはムカシトンボ下目の下に分類されていましたが、近年ではムカシトンボ亜目はトンボ亜目の原始的な側系統群であると考えられています。現在では、トンボ亜目は新設されたトンボ下目の下に位置づけられています。

トンボ亜目と文化

世界の文化

ヨーロッパ: 邪悪なイメージを持つことがあり、「悪魔の裁縫針」や「耳切り」などと呼ばれ、悪魔や怪我と関連付けられることがあります。
アメリカ先住民: 迅速さや活動性を象徴するものとして捉えられ、純粋な水の象徴とされることもあります。

日本の文化

日本では、トンボは晩夏や初秋の象徴とされ、勇気、強さ、幸福の象徴とされています。絵画や俳句などの文学作品の題材としてもよく用いられます。また、日本列島の形がトンボに例えられることもあります。

人間との関わり

トンボ亜目は、幼虫がボウフラなどを捕食し、成虫が小昆虫を捕食することから、害虫駆除に役立つ益虫として認識されています。また、その美しい姿から、観察の対象としても人気があります。

オーディング：アメリカでは、トンボやイトトンボを探すことが趣味として行われ、オーディングと呼ばれています。

主な種

北半球に生息する種
南半球に生息する種

文化的意義

トンボは世界中で様々な文化的な意味合いを持っています。ヨーロッパでは不吉なイメージを持たれることもありますが、日本では勇気や力の象徴として親しまれています。

参考文献

Tree of Life Odonata
トンボ亜目 - Curlie（英語）
Identification key to dragonflies found in Ireland
British Dragonfly Society
Dragonflies and Damselflies (Odonata) of the United States
Phaon (Pinhey's Heritage African Odonata Network)
Dragonflies and damselflies on the UF / IFAS Featured Creatures Web site
Photos of dragonflies from Asia-dragonfly.net, Africa-dragonfly.net, America-Dragonfly.net, Libellulasman.com and Odonata.su
list of field guides to dragonflies, from the International Field Guides Database
* Dragonfly Pictures Gallery and Information

もう一度検索